トイレのDIYリフォームから学んだ「暮らしを豊かにする4つの利点」

暮らしのDIY

トイレの壁にペンキを塗り、床に無垢のスギ材を敷く。
そんなDIYリフォームをやってみました。

「敷くだけフローリング」という商品を7年ほど販売していたので、無垢材を敷くのはお客様宅を含めたくさん経験していますが、壁のペンキ塗りは、実は初めてです。

うまく塗れるか少し不安でしたが、わりあい簡単で、とても楽しく、あらためてDIYでリフォームする利点を実感することができしました。その実感については4つの視点にまとめて最後にお話しするとして、まずはプロセスをご覧に入れます。

ペンキ塗りのポイントは、準備にあり

今回DIYで壁と床をリフォームしたのは、築40年の自宅、2Fのトイレです。
5年ほど使っていなかったので荒れた状態でしたが、最終的にはこんなに変身しました♪

実は、工務店さんに便器と水槽の交換をしてもらったときに「ついでに壁紙も新しくしては?」と勧められのですが、かねてから一度やってみたかったペンキ塗りにチャレンジする機会がついにやってきた♪と喜び勇む心を抑えかね、お断りすることにしました。

さて、それでは作業に入ります。

ペンキ塗りの前に、床を新聞紙で養生。

天井や窓枠・扉枠や巾木の際には、ペンキがはみ出さないように養生テープを貼りました。
仕上がりが雲泥に違うと聞いていたので、1時間半ほどかけて丁寧にやりました。

そして新しい便器は、布で覆いました。

ペンキと道具は、外側に準備。
汚れたらすぐに拭けるように古布やティッシュも用意。
下に敷いた新聞紙も、行き来しても動かないよう養生テープで貼りました。

準備ができたところで、まずはシーラーを塗って3時間ほど乾かしました。
シーラーは、ペンキの下地材。塗りむらを予防したり、壁との接着を強めたりするもので、塗ると、見た目は薄めの白いペンキのようになります。

なんと快感、ペンキ塗り♪

そして、シーラーが乾いたところで、いよいよペンキ塗り。
ローラーが使えない端の部分に、まずはハケで塗りました。

大きめの18cm幅のローラーで塗ったので、初心者の私でも想像していたより軽快かつスピーディに塗れました。 ハケより断然すべらかで美しい仕上がりで、壁がどんどん綺麗になっていくのが快感でした♪♪♪

全部塗るのに約2時間半。便器の脇が狭くて作業しづらかったこともあり、予想していたよりも時間がかかりました。

この段階で外が暗くなったので、ひとまず終了。

無垢のスギを加えて、快適空間に仕上がった!

翌週末、まずは窓枠・扉枠・巾木などを白いペンキで塗り、それから設置したのが、ペーパーホルダーとタオル掛け。

直接つけずに、スギの端材を活用してアレンジしました。

そして、翌週末、床にスギ材を敷きました。
すると、ぐんとナチュラルで居心地のよい空間になりました♪

「ペンキの色がちょっと暗かったかな……?」と感じていたのですが、床に無垢の杉を敷くと、雰囲気が一新。すべてが調和して感じられるようになったのが不思議です。

さすが杉です♡

DIYリフォームをおすすめする4つの理由

さて、こうして初のペンキ塗りをしてみて実感したのが、DIYリフォームの利点です。

整理してみると、大きく4つ。
◎プロセスをとことん楽しめる
◎「ほどほど感」に愛着がわく
◎自分でできることが増える
◎空間と時間がふくよかになる

一つひとつ、詳しく見ていきましょう。

⒈ プロセスをとことん楽しめる。

実際の作業の楽しさは、上記でお伝えした通りですが、実は、楽しさは、その前の準備にもありました。

ペンキはどのメーカーにする? 何色にする? どんな段取りで塗ればいい?
……検索したり、本で調べたりするのはもちろん、街を歩けばお店の内装にヒントを見つけたり、友人のオフィスのDIYに学んだり。

わからないこと、迷うことだらけで、「もやもやする」とも言えるのですが、「やりたいこと」と「やるべきこと」を見極めていくプロセスは、あとで振り返ると「すごく楽しかった!」と思うのです。

私の場合は、手元のこの本で基本をおさえ、

WEBサイトでは、こちらの動画を参考にしました。
DIYショップRESTA「DIY|水性ペンキの塗り方ー壁紙の上に塗ろう!」

他にも説明サイトがたくさんあって、知りたいポイントによって深堀りできました(このブログも、誰かの参考になったら嬉しいです)。

ペンキは迷いに迷って、「J COLOUR」の「藍鼠」を選びました。
説明に「においが少ない」と書いてあったのですが、実際に不快なにおいは全然なく、作業中も塗ったあとも不愉快になることはありませんでした。

……というわけで、そんな前準備のプロセスも含めて楽しみを深め、そして達成感をも得られるのが、DIYリフォームの利点の1つだと思うのです。

⒉ 「ほどほど感」に愛着がわく

そして、DIYリフォームの最大の利点はここにあると私が強く思うのが、自分なりの「ほどほど感」で仕上げられることです。

プロに頼めば、完璧に仕上げてくれる(ことを人は望む)。
でも、自分でやれば、ほどほどで手を打てる(ことを人は学ぶ)。

例えば、私が塗った壁には、こんな箇所があります。
乾いたら、ペンキが擦れていて、下に塗ったシーラーの白い転々が見えていた…。

コーナーは、シーラーが乾ききっていなかったようで滲んでいた…。

こうしたアラに、昼間の明るいうちは「さすが素人っぽい」とため息の一つや二つは出てくるのですが、夜の照明では全然気になりません。

そして、こうしてためつすがめつ眺めるたびに、「まぁ、この『ほどほど感』、なんだかいいな〜」と思うのです。

もちろん、二度塗りして完璧を目指すこともできるでしょう。

ですが、少なくとも今しばらくは、「プロに頼むこと」と「DIYでやること」の比較考察のネタとしても、この私らしい「ほどほど感」を、トイレに入るたびに味わいつづけたいと思っています。

お金を出してプロに頼んだら、この「ほどほど感」の楽しみは、絶対に味わえません。
というか、たぶん、この古い壁紙にペンキを塗るという選択肢は、プロには断られたと思います(仕上がりが保証できないから)。

⒊自分でできることが増える!

DIYリフォームを通して、自分の手でできることは確実に増えます。
単純なことです。

今回のペンキ塗りで私が初めてやったのは、マスキングテープ貼り、床や天井や便器の養生、細いところをハケで塗る、広い面をローラーで塗る、脚立に上ってペンキを塗る、など、こうして列挙してみただけで、こんなにあります!

うまくできた作業もあれば、結果を見るとイマイチだった作業もありますが、次回、どこかにペンキを塗るときには、この学びを必ず生かせるはずです。

一方、トイレに無垢材を敷く作業は、私にとって6回めでした。
あいかわらず便器のRに合わせて板をカットするのは難しかったですが、おおよその狙いで可能な限り楽にカットする方法を考え出し、私なりの妥協点を見つける力は確実に上がった気がします。

大人になると、「できることが増えた!」と実感する機会は少ないですよね。
だからこそ、DIYリフォームで自分でできることの幅が広がる喜びは、思いの外、大きいのです。

⒋空間と時間がふくよかになる

そして4つめの利点は、暮らしている空間が、ふんわり豊かになることです。

「暮らしている空間が豊かになる」と言うのは、DIYで家に手を加えていくことの一つひとつが学びとなり、思考を巡らせる発端となり、できあがりの成果とともに、暮らしの空間に時間をかけて刻み込まれていくということです。

できる時に、自分のリズムで、コツコツと手を加える。
そうすることで、家が、自分の心身と有機的につながった空間になっていく。

DIYリフォームを通して、物理的な「house」という箱物が、自分だけの「home」になっていくとも言い換えられると思います。

以前、「新しい〈豊かさ〉を築く、新しい経済学とは?」でご紹介した『プレニテュード』(ジュリエット・B・ショア著/岩波書店)では、現在の環境危機も経済危機も、働きすぎと浪費の悪循環だと指摘されています。

衣食住の「住」のわずかな一部分ではあっても、自分の手でまかなう能力を高めることは、現在の社会にはびこる悪循環のループから抜け出すひとつの手段となるのではないでしょうか。

今後も少しずつDIYリフォームを進めながら、新しい「豊かさ」を探っていきたいと思っています。