年末年始の頃から、父のトイレ問題が急激に深刻化してきた。
原因は、極度のふらつき。
足腰の筋力が加速度的に弱くなったからなのか、認知症による何らかの障害なのかわからないけれど、立っているのも歩くのも覚束ないほどフラフラ度合いが強くなってきた。主治医の定期検診では差し当たり大きな問題はなく「年齢が年齢ですから」とのことで、治る治らないの域を超えているようだ。
2年半前に同居するようになった当初から「トイレでは座って」と頼みつづけてきたが従ってくれず立ちションしては便器と床を汚すのが常態化していたのだけれど、そんなフラフラ状態になっても断固として座ろうとせず(もちろん大便のときは座ってるのに)、結果、百発百中外すようになり、ときには的中度0%じゃね?と思うほど床への放出量が増えてきた。そうなると靴下もビショビショ、しばしばズボンも濡らす。
なぜか廊下にも水滴が点々と落ちていることもあり、見れば、間に合わないと焦るばかりに父はチ○チ○を出しながらヨロヨロとトイレに向かっているではないか。
もー、やめて。見るのもイヤ、掃除も洗濯も大変💧
何はともあれトイレに行って座ってから出してもらわなければ、拭いても拭いてもションベン臭くてやってらんない。
で、父がトイレに向かう気配を察すると姉か私のどちらかが先回りしてトイレの扉と便座蓋を開け、父を軽く引いたり押したりしてともかくトイレ内に移動するよう促してから、扉脇の手すりを握って立っていてもらい、「失礼するわね」と言いながら後ろからズボンと紙パンツを一気に下ろし180度ぐるりと向きを変えて座らせようと介助するのだが、父は抗って「やめろ!」などと怒鳴りながらあくまで立ちションしようとするもんで、そうなるとこちらも最初は「フラフラするから座ると安全よ」などと言い含めるよう努めていても、次第に「座らないと外すでしょ!誰が掃除すると思ってるの!?」などとキツい口調になり、結果、互いにヒートアップ。
もちろん、そんなふうに言われたらイヤだろうとわかっちゃいる。でも、廊下をヨロヨロと進む父の望ましくない動作を見てしまって思わず「チ○チ○はトイレに入ってから出す!」などと直截的な指示を口に出してしまったときには、もう修羅場😅
平日の日中はデイサービスでお世話してもらえてほんとうにありがたい。スタッフの方は「今、トイレ、空いてますよ」などと間隔を見計らって促してくださっていると聞いたので、うちでも「あ、今、トイレ空いてるよ」と試してみたけど通じなかった😅 そもそも父があまりに汚すので姉と私は2階のトイレを使用しているので1階のは常に空いている。認知症だから意外とイケるかも?と思ったのだけれど侮れないものだ😅
父は平日は毎日デイサービスを利用しているので、家で用を足すのは夕方帰宅してから夜〜朝出かけるまでと、それから土日の終日。父がいるあいだはトイレ騒動とトイレ掃除にほとほとうんざりする日々となった。夜中は私はぐっすり深く眠るので父が用を足しに起きても気づかず、姉がたまに同時に起きたとき以外は介助できないので、ヘビーなトイレ掃除からスタートせざるをえない朝が続く。こんなことでは、ションベン撒き散らし爺さんの顔なんぞ見たくなくなる。やばいやばい、これはやばいです。
そこでケアマネさんに相談してみたところ、「寝室にポータブルトイレを置いてみてはどうでしょうか」とアドバイスをいただいた。ポータブルトイレは、車椅子や手すりなどの介護用品のようにレンタルはできなくて買い取りになるが(しかも3〜4万円と高価)、業者さんに確認すると1週間ほどならお試し貸し出しはできるとのこと。
服とパジャマの見分けもつかなくなり、箸とスプーンの使い分けもできなくなりつつある認知症の父が、新しい器具に馴染める可能性は低いだろうが、「お試しレンタルができるなら」と藁にもすがる思いで借りてみることにした。
持ってきていただいたソレは外観はまったく普通の肘掛け椅子で、父の寝室のベッド脇に置いてもなんら違和感がなかった。というか、家具としてしっくりしすぎてポータブルトイレであるという認識が父はもとより私たちも持てないのであった。合成皮革の座面が折畳式の蓋になっていて、その下に便座、さらにバケツ様の便器が設置されているという構造なのだが、「ここでションベンなんができない」と父が言うのも妙に納得で、何とか試させようと仕向けることすらできず、お試し期間中は紙おむつと同じような給水性の素材でできた袋をセットして使うのが条件だったのだが未使用のまま、何度か服とかパジャマを座面に置いたくらいで返却とあいなった。
その代わりに、ケアマネさんが置いていってくれたカタログに出ていたトイレの手すりならイケるかも?と姉が言い出した。便座に座ると、両脇が肘掛けのようになる手すりである。たしかに、便座に腰掛けるときにそこに手をつければ安定するだろうし、肘掛け椅子のように見える効果で父が「座りたくなる」かも?
相談すると、ポータブルトイレの引き取りと同時に業者さんとケアマネさんが訪問してくれて必要な手続きが完了し、最短のスピードで設置された。
父がまったく抵抗しなかったわけではないけれど、方向転換するときも肘掛け様の手すりに手をついてもらうと想像どおり安定感が出た。そして「Kさん(←介護用品の担当者さんの名前)が感想を聞かせてくださいって言ってたから座ってみて」とか「レンタルしたから使えば使うほど一回の使用料が安くなるよ(←😅)」とか言いながら介助すると以前より抗わなくなり、もちろん介助を要するものの2週間経った今は、拒否する頻度が減ってきた。ふぅ。これまで一回だけだけれど床が濡れていなかった朝もあり、夜中に一人で座れたこともあったみたいだ。「座って用を足す」がすっかり習慣化して、介助なしでできるようになればいいが、まぁ、それは期待しすぎだろうか。
それにしても、トイレ問題は重い。「いっそ紙パンに排泄してくれた方がラクかも?」とも思うのだが、そうなったらそうなったでまた履き替えが厄介な問題になりそうだ。ふらつきがひどくて家の中でも車椅子で移動させることも多くなってきたから、自宅介護の限界がひたひたと近づいてきているように感じる。
というわけで、母が1月中旬からお世話になっている施設と同じ建物にある特別養護老人ホームに申し込みができるよう、介護度の見直しを申請した。すぐに入所できるわけではないので、「自宅介護、もう無理!」という混乱状況になる前にと考えての段取りだが、父の衰えのスピードを目の当たりにしていると、間に合うか正直ちょっと不安だ。
けどまぁ、なるようになる。きっと、ちょうどいいタイミングで事は進む……と思うようにしてます。
そして、政府が介護保険制度の改悪を進めようとしているようなので、そこにはちゃんと異議申し立てをして、ケア労働に携わる人たちの労働条件を良くすること、サービスの質を落とさないこと、すべての人の尊厳を守る意識を社会で育てていくことのために、自分なりにできる範囲で行動していこうと思っています(といっても当面は、家でオンライン署名をするとか、ブログにこんなひと言を添えるくらいのことですけど)。