スマホを忘れて出かけ、あら大変!だった7月のある日のこと

気になること

7月のある日、スマホを忘れて出かけてしまった。
横浜市内にある某企業に打ち合わせに出かけた日のことだ。

気づいたのは、西武新宿線の航空公園駅のホームに着いたときだった。
自宅から 20 分ほど自転車を漕ぎ、駐輪場を経て駅に向かい、乗ろうとしていた電車の発車時間まで5分くらい余裕があるのを改札の時計で確認したので、SUICAをタッチして改札を抜けて急くことなく階段を降りてホームに立ち、さて、今一度これからの経路を確認しておこうとスマホを探った、そのときだ。
あ、しまった、スマホがない💧

途中どこかで昼食を取るつもりで1時間以上余裕をみて出かけてきたのだけれど、スマホを取りに家に戻ると昼食を抜くことになってしまう。腹が減っては打ち合わせはできぬ。久しぶりの訪問とはいえ 4 年前に会社案内の制作を担当させていただいたときに何度も通った会社さんだから迷うことなく行けるだろうし、取材じゃないからボイスメモがなくても困らないし、まぁ、1日くらいスマホがなくても大丈夫さ、と判断した。

私が住む所沢からの経路はいくつかあって、かつては、そのときの気分や乗換の都合によって路線や乗換駅を選んでいた。
一番よく利用したのは乗り換えの少ないパターンで、西武池袋線と東急東横線が乗り入れしている「Fライナー」で所沢からそのままズズーッと1時間ちょっと座ったまま横浜まで行って同じホームでみなとみらい線に乗り換えて日本大通り駅で下車、そして横浜球場の脇を通って 15 分てくてく。
あまり歩きたくない日は Fライナーで横浜に出てJR根岸線に乗り換え、関内駅で降りて徒歩 8 分。または横浜から市営地下鉄ブルーラインに乗って伊勢佐木長者町駅で降りて徒歩 1 分。
ただし Fライナーは 30 分に 1 本で、時間帯によってないこともある。そういうときは所沢から西武池袋線で池袋→ 湘南新宿ラインで横浜→ あとは根岸線かブルーラインという経路になる。

その日は、前日にスマホの乗換案内アプリで調べて Fライナーじゃないパターンにして関内でランチしようと決めたのは覚えていたのだが、あら、困った。あれ? 池袋から乗るJR線って、なんて名前だっけ?…「湘南新宿ライン」が思い出せなかったんである。ちょっと不安。
しかも、一度不安になるとなんだか心もとなくなってきちゃって、「あれ、池袋で乗り換えるJR線がそのまま関内に行くんだっけ? 乗り換えるんだっけ?」なんて不安が膨張。で、調べようとポケットに手を突っ込むのだが、ない、そう、スマホを忘れたんだっけ💧

ああ、こうして認知症の父はいつも不安になっちゃうんだな……といつになく理解が深められた気がしたのではあるが、それと同時に「もしや、私ももう始まってたりして?」と、またまたあらぬ方向に不安は広がっていくのでした💧 こわいわ。

しかしまぁ、池袋駅に着いて表示を見れば路線名は思い出せるに違いない。それにJR線の車中で扉上の路線図を見れば目的駅までの経路も確かめられる。大丈夫。
そう自分に言い聞かせ、予定していた 10:05 航空公園駅発の西武新宿行きに乗り、次の所沢で池袋線に乗り換え、一路池袋へ。
そして
つつがなく路線名も乗換も予測どおり確認できたのであったが、問題はランチのお店である。

移動中、4 年前の記憶をたどる。
関内からの道中にある定食屋さんの肉どうふもおいしかったし、ランチメニューがあれこれ選べるイタリアンもあったし、脇道のインド料理も悪くなかったっけ……。
思い返すうちに、あ、あそこ、あそこがいいわ、と浮かんできたのは駅の反対側にある老舗の天ぷら屋さん。清潔な座敷が居心地よく、天ぷら定食も天丼も1000円くらいでリーズナブルだった。時間の余裕もあるから、ほんの少し駅の反対側に行くくらいなんともなかろう。
あ、でもどの辺りだったかな? 店の名前も覚えてないな。マップで見てみるか……と、また手をポケットに突っ込むも、そう、スマホ忘れてたんだ💧

ここはもう、自分を信じよう。きっと行ける。
関内駅の改札を出たのが11時半。根岸線に並行した道沿いを進む。たしか、この道沿いだと思ったのだが、見つからない。駅のすぐそばだったはずなのだが、コロナ禍で閉店?……などと不安になりそうになったちょうどそのとき、クロスする道の角、右をひょいと見ると、あったあった、ちゃんとあったよ。
ガラガラと引き戸を開けて入ると開店11時半を少し過ぎたばかりにもかかわらず、すでに入口脇に並んだ椅子に2人の背広姿の男性が座っていた。そこで、入口の反対側に置いてある順番待ちリストに私も名前を書き込み、残る一つの椅子に座った。

打ち合わせの予定は13時で、10分前にデザイナーさんと1階の入口で待ち合わせていたから1時間以上ある。余裕だ。しかもランチだから、ササッと出てきて、パパッと食べて、あとはのんびり並木道を8分ほど歩いていくだけ。いや、むしろ余裕ありすぎかも、ふふふ。
仕事前だけど、なんだか久しぶりに旅行してるみたいだなぁ〜なんて気もしてきちゃって、ふと見ると、昭和の時代の懐かしさを感じる名店紹介的なA 5 版の横長冊子のフリーペーパーが置いてあってパラパラとページを繰ると、林望氏の「たべもの煩悩記」とか永山久雄氏の「スーパー100歳食」に始まり読み応えのあるコラムがずらり。

やがて 2 階の広々とした座敷に通されて、天丼定食を注文。
この日もすごく暑い日だったけどクーラーが効いた座敷は居心地よく、再びフリーペーパーのコラムを読み進む。しばし没頭し、ふと、そろそろ出てくるかな?とキョロキョロ見回すも、同じタイミングで通されたあちらの男性客の前にもまだ食事は出されていない。
あれ? どのくらい待ったのかな?
手をポケットに突っ込むも、そう、スマホ忘れてたんだ💧
私は腕時計を身につける習慣がなく、いつもスマホが時計代わりなのだが。
しかも座敷をぐるりと見渡しても時計はない。

ま、余裕あるし、天丼が出てきたらがんばって早食いしよう。
と考え、再びフリーペーパーに戻る。おもしろい。

やがて天丼と味噌汁とサラダが私の前に運ばれてきて、いただきます!
うん、香ばしくてサクサク。甘辛いタレでご飯がすすむわ♪
きれいなお座敷で天丼、あ〜、いいなぁ、非日常だわ。

ほどよくお腹もいっぱいになり、デザートに抹茶アイスも出てきちゃって、あー、満足満足でお勘定して店の外に出て歩き始めたとき、あ、お勘定場で時間を確認しようと思ってたのに忘れた!と気づいたと同時に、すごい勢いで不安が込み上げてきた。
なんか、街の時間の雰囲気がアレッ?って感じだったのだ。

で、信号待ちで横に立っていた姪っ子によく似た若い女の子がスマホを手に持っていたから、「すいません、今、何時ですか?」と聞くと、「え? あ、12時50分ですよ」と言うではないか!! まずいぞ、それ、デザイナーさんとの待ち合わせ時間ぴったりじゃないの!
遅れるって連絡したい、でも、そう、スマホないんだ💧

信号が青になり、一気に駆け足!……といきたいところだけれど、最近ちっとも運動してなくて走るどころじゃない私。せいぜい早足、と自分では思っていても、きっと側から見たらただ歩いてるだけなんだろうな。けど、がんばりましたよ、がんばりました。汗をかきかき、Googleマップで8分と出る距離を5分ほどで歩ききりました。
というわけで、5分遅刻ですみませんすみませんでしたが、打ち合わせには間に合った。ふぅ。

スマホがないとほんと困る、と心底実感したのですが、同時に、ここまでスマホに依存していてはいかんなぁ、とも思ったのでした。