穴があったら入りたい。新しいiPhoneSEの「初期不良」の顛末

気になること

8月中旬、iPhoneを新しくした。

それまで使っていたiPhone7は、今年7月で丸5年を超えた。
昨年12月に充電ができなくなってバッテリーを交換して延命したのだが、だんだんとストレージ容量がいっぱいになり、不要なアプリやsafariのキャッシュや写真を削除するなどやれることは全部やってみたけれど改善されず、とうとう写真が1枚も撮れないボイスメモも録音できないメールチェックもスムーズにできないという状態になり、しょっちゅう電源を切っては再起動しても使えたり使えなかったりで、時間のロスがやたらと多くなってしまった。

なんとか使えるようにする方法はないか調べたり考えたりして1週間ほど悩みに悩んだけれど、もう買い換えるしかなさそうだった。

だけど、私はちょうど「ぼくはお金を使わないで生きることにした」を読んだばかりで、著者マーク・ボイルさんのようにとはいかないまでも、自分も消費生活を抜本的に見直すべきじゃないかと考えさせられていたのですごく葛藤した。

とはいえ今すぐ資本主義経済から徹底的に身を剥がす覚悟はできず、となれば細々とでも「円」を稼ぐ必要があり、そうなるとカメラ、ボイスメモ、電話、メール、メッセンジャー等々の機能がすべてコンパクトに内臓されたスマホは編集者・ライターである私にとっては商売道具ともいえる必需品なわけだし、日常生活でも父母の介護関係者との連絡は私のスマホ電話に集約しているしラジオも主にこれで聴いているし備忘メモも全部ここに入れてあるしetc.……とぐるぐる自問自答した結果、やっぱり新しくしようと決意したのだった。
ほんと驚くべき依存度だとあらためて思う。

で、どの機種にするかといえば、私はスマホでゲームはしないし動画もほとんど見ないので、むしろサイズはコンパクトなほうが扱いやすいのでiPhoneSE(第三世代)に決め、通信料と一括の支払いのほうが都合がよいので通信キャリアのオンラインショップで注文した。

そして翌々日、新しいiPhoneSEが宅配便で手元に届いた。世の中はお盆休み期間に入っていたというのに、このスムーズさ。なんだか申し訳ない気持ちになったが、畑の記録写真が撮れなくて困っていたのでとてもありがたかった。

さっそく、同梱のSIMカードをセットし、iPhone7のバックアップデータをiCloudから移行して、それはもう万事うまくいったように思われた。

iPhoneSEは、サイズも見た目もiPhone7とほとんど変わりなく、バックアップデータを移行したのでホーム画面にはアプリのアイコンが従来通り並び、これまで使っていた古いカバーをそのまま付けちゃったので「新しくなった感」がちっともなくて、「サクサク動くチップ」「進化したバッテリー」「5Gのスピード」「スター級のカメラ」といったAppleのwebサイトで見たぴかぴかの謳い文句は手にとってすぐ実感できるものではなく、それはゆくゆく体感できるのだろうと気を取り直し、いつものようにデスクの隅に置いてradikoでラジオを聴きながらPCの前で仕事に取りかかったそのとき、着信音が鳴った。

進行中のWEBサイト制作の仕事の確認だったのだが、あちらの声がやけに小さかった。まるで遥か遠く宇宙の果てから聞こえてくるかのような細い音声だったが、先方との距離はたかだか25kmほどだから遠さの問題ではないことは明らかだった(つーか、そんなわけねーだろ)。しかし本体脇の音量ボタンの「+」を何度も押したのだが、音量はちっとも上がらなかった。
「すみません、こちらから折り返してもいいですか?」と尋ねて掛け直してみたのだけれど、やはり音量は小さいままだった。まったく聞こえないわけではなかったので、とりあえず手短かに用件を聞いて通話を終えたのだが、さて、どうしたもんか。困った困った。

もしかしたらiPhoneSEは音量設定の方法が変わったのかも?と、まずAppleのiPhoneユーザーガイドのページで確認してみたが、そんなことはなく、脇のボタンでの音量調整の説明しか見当たらなかった。

そこで今度は、通信キャリアのwebサイトの記載を見てみた。

「スマートフォン本体を耳にあてた状態で通話している場合には、『原因を特定するため、イヤホンに接続した状態で通話ができるかお試しください』」との説明があったので、ちょうど用事のあった遠方に住む妹とSNSのチャット通話を試みた。
結果、イヤホンでは普通に音量調整ができて問題ないし、スピーカーでも大丈夫だったが、やはり本体を耳に当てるとあいかわらず聞こえがものすごく悪いままだった。

とすると、やっぱり……「イヤホンに接続した状態で通話ができる場合は、スマートフォン本体に問題がある可能性があります」ってことだよね?

そうなると、初期不良の可能性が高いと考えざるをえない。ふぅ、ちょっと面倒。でも放ってはおけない。

そこで通信キャリアのサポートに問い合わせてみたところ、「まずAppleのサポートに問い合わせ、そこで解決できなければ初期不良で新しい製品を送ります」と言われ、Appleでは遠隔診断もしてくれたのだけれど「何も問題はないですね」という結果で、「一度、Appleストアに行っていただけますか?」と聞かれたのだが、こちとら埼玉県の所沢市に住んでいて一番近いストアは池袋という半端な遠さで、しかもこのクソ暑さ&認知症の父と同居という身でわざわざ都心まで行く余裕がない。で、「それならば、再び通信キャリアに連絡するように」ということになり、初期不良として新しい製品の発送手続きを進めてもらうこととなった。

こうして翌々日に再びiPhoneSEが手元に届いた。
数日前に一度やった手順だから、SIMカードを入れる場所が開きにくいのも経験済みだから焦ることなくじっくり開けてカードを入れ替え、iCloudからデータを移行させるのも難なくクリア。
そこまでやったところで、ちょうど父がデイサービスから戻ってきたので「私に電話をかけて」と頼んだ。

「今度こそ」と大きな期待を胸に電話を取ったのだが、すぐそばで父が「俺には普通に聞こえるぞ」という声が大きすぎる影響というわけではなく、スマホを通して耳に入ってくる通話音は明らかに、あいかわらず、前回の新しいiPhoneSEに負けず劣らず小さかった。あぁ、なんてこと!?

もしかして、私の耳が変なのか?という疑問が湧いてきた。
ある程度の距離の物音は聞こえるけど耳のそばの音だと聞こえにくい、そんな老眼のような耳の病気、あるのかな?
いやいや、そんなのないだろ……とすると???

まさか二度続けて初期不良って、ありえる?
いやいや、そんなのないだろ……でも、わかんない。

一人で堂々巡りしていても仕方ないので、あらためてAppleに問い合わせて事情を話した。
オペレーターさんが、前回と同じように「イヤホンだとどうですか?」とか「スピーカーでは?」とか「FaceTimeでは?」(←ビデオ通話ではどう考えてもイヤホンかスピーカーを使うと思うのだが)と状況確認をしたうえで、「遠隔診断をしますね」と今回も異常がないか確認してくれたのだが、結果はやはり「問題ないですね」とのこと。
これはもうお手上げ、もしかして私はiPhoneSEとは相性が悪いとか?……とゾゾッと背筋が寒くなりかけていたところに、オペレーターさんが言った。

「お客様、耳を当てている部分に何かフィルムのようなものが貼られていませんか?」

あら、やだ!!!
そういえば、貼られているかも!?

たしかに液晶画面にフィルムが貼ってあるのは認識していた。
だけど「保護シートを買うまでそのままにしておいたほうが汚れや傷の防止になるかな」と思って、ホームボタン部分に指紋模様が白くプリントされているフィルムをそのままにしておいたっけ!!!

「えーっ、貼ってあります、貼ってあります、ちょっと待ってください」と答え、かぶせてあった古いケースを外し、そのフィルムを見てみると、なんとなんと、それは前面から背面にかけてぐるりと貼ってあって、耳に当てる内蔵ステレオスピーカー部分もすっぽりと覆われていたのだった!!! あぁ、なんてこと!

そしてフィルムを取り外し、それまではスピーカーであちらの声を聞いていたのをオフにして耳に当ててみると、それはもう普通にちゃんとした音量で聞こえるのだった。

きゃー、恥ずかしい。やだやだ、私ったらぁ〜!!!

オペレーターさんは慌てふためく私を笑ったりせずにきわめて落ち着いたトーンのまま、「お役に立ててよかったです」とあたたかく言ってくださいましたが、私はもう、穴があったら入りたい、ズズーン。

ほんと、大声で叫びたくなった。
すみませんすみません、すみませーん!

最初のiPhoneSEは、経緯のメモ書きを添えて通信キャリアに指定された返品窓口に送ったものの、ひとしきり恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
で、ブログに書くのもためらっていたのだけれど、こんな失敗談もどなたかの役に立つかもしれないし、それに、昨今の自分の習慣を改める宣言をしておきたいと考え、あえて恥をさらすことにした次第。

どんな習慣を改める宣言か?といえば、すぐに解決策を検索して知ろうとする習慣だ。

そもそも今回の失敗の原因の一つは、「どうして通話音量が小さいんだろう?」という最初の段階で、iPhoneSEを手に取って、耳を当てる内蔵ステレオスピーカーの部分をまじまじと観察しなかったことだ。していたら、フィルムに覆われていることに気づけたはずだ。
なのに、私はそうせずに、まっしぐら検索に走ってしまった。

インターネット検索は便利だけれど、それよりも大切なのは、なんでも目の前にある現実を自分の目でしっかり見ることだ。
一度、性根を叩き直そうと思う。

ということで「すぐに検索しないぞ宣言」、ここに表明いたします。

いやはや、お恥ずかしいかぎり。

※だけど、ちっちゃな声で付け加えておきます。「はじめかたガイド」に「フィルムを外してから使いましょう」の一言を書いておいてほしかったな。私、取説にはまず目を通す派なんで。