3億円の借金につづいて、父をゆする私!?

日々の楽しみ

先日の朝、身支度をしてリビングに行くと、めずらしく私よりも早く起きていた父がパジャマのままソファに座っていた。「おはよう」と声をかけても、ボーッと上の空。
低血圧で朝が苦手な父なので、ま、放っておこう。

そのまま台所に入っていくと、お弁当と朝食の支度をしていた姉が私を見て言う。

さっき、パパが暗い顔で起きてきて、「実は、ともよ(←私の名前です)にゆすられてるんだ」って小声で言ってきたのよ。

何それ? ゆすり? 私が?
笑える。

もー、忙しくて相手してらんないから、「とりあえず、休んでて」ってソファに座らせてホットミルク出しといた。きっと、ゆすられたことはすぐ忘れるよ。
と姉はクスクス笑う。

この間、「ともよが新しい事業を立ち上げるというんで3億円貸してしまった。大丈夫だろうか?」と父がパニクって姉に告げた話を新事業の立ち上げのために、父から3億円の借金!?に書いたばかりだが、またも、父の夢のなかで私は何かやらかしたようだ。

姉の予言どおり、その後、父は私の悪事に触れることはないので、いったい私がどんな風に、いくらくらい、父から巻き上げようとしたのかは迷宮入り。今後、真相解明はできそうにない。
が、しかし、どうしてこうも立て続けに父の夢のなかで私は騒動を起こすのかねぇ、やれやれ。

思うに、「ゆすり」に関しては、最近私が父の決済を得るべく見せた2つの見積書が影響しているような気がする。

見積書の1つは、ロッキングチェアーとソファの修理代。
もう1つは、電気配線工事代。

ロッキングチェアーは、昨夏、父が座って無理な力がかかったのか寿命だったのか背もたれの棒が一本折れてしまった。ソファは、以前からクッション下の座面ベルトが2箇所切れていて座り心地がすこぶる悪かった。いずれも、約40年前に父母が購入した愛着深い年代物で、せっかく父が使うのなら、新品を購入するよりも大切に修理したほうがよかろうと姉と相談のうえで判断した。

そして電気配線工事は、夏の猛暑対策のエアコン設置のためだ。なにしろ半世紀近く前に建てられた我が家は、現代の電化生活に応じられるほどの配線がない。これまでリビング一台だけでなんとかやり過ごしてきたが、昨今の気候変動による過酷な夏は、91歳の父にはもはや致命的と言える。札幌から連れてきたのは昨年8月末で、気温はまだ高かったとはいえ、すでにお盆を過ぎていた。
「オレは暑さに強いから大丈夫だ」と本人は主張するが、なんのなんの、とんでもない。埼玉の暑さを甘くみちゃいかんぜよ。というわけで、配電盤ごと換えてエアコン3台導入という決断に踏み切った。

いずれも、「必要経費」として父の決済を得たのは、経済的に安定感のない私たち姉妹がそれらの代金を背負うのはしんどいし、そもそも父と暮らすようになって生じた経費なわけですしね。

そして今後想定される経費は、膨らむ一方だ。
まずは電気配線工事が済んだら、エアコン代。加えて、酷暑の夏はデイサービスで入浴しても、家でもシャワーくらいは浴びる必要があると想定されるため、浴室のリフォームも計画中だ。流れの悪くなったトイレも取り替え、ついでに手すりを付ければ父も楽に用が足せるようになるだろう。

いずれも父の安全を期すためであり、見守る私たちの労力を減らすためでもある。「必要経費」と考えていただくしかない。いくら「ゆすられている」と姉に密告されても、止めるわけにはいかないのである。そもそも、父が密告した相手は私とはツーカーの内通者なのだから、いくら密告されても痛くもかゆくもないわけで。笑

という話を、やはりお母様の介護に突入した友人にしたところ、「古い家の浴室とトイレのリフォームは必須ですよ。うちの場合は、本人の自由度が増して、介護する私も快適に過ごせるようになりましたよ」と実感あふれる経験を語ってくれた。

というわけで、しばらくは安全・快適を実現すべく、断続的に父をゆすらさせていただく所存でございます。できれば、ゆすりの技も楽しく磨いていきたいと考えております。
その成果についてのご報告は、いずれまた。