寝覚めが悪い夢だったけど、希望を伝えてくれる夢だったのかも

日々の楽しみ

一昨日の朝、奇妙な夢を見た。

私は、20畳くらいの広い部屋の片隅にある鏡台の前に座っていた。
青みがかったグレートーンの殺風景な部屋で、私の背後には男が1人いて、どうやら私は拷問を受けているのだった。
「画鋲を飲め」と指示されているらしい。

飲み込もうとするのだがチクチク痛くて喉を通らず、私は画鋲をいったん口から出し、鏡台の上に置く。
半透明の小さな円柱形のヘッドがついた画鋲だ。
飲み込めない、こんなもの。

背後の男は声をあげて強制してくるわけではないのだが、私は無言の圧力を感じている。
何の拷問なのか。私が何をしたというのか。

いったい、どうしたものか。
どよんとした暗い気持ちにひしがれて背中を丸めて思いあぐねていると、部屋の対角にある扉がバタンと勢いよく開く音がして、振り返ると、そこに姪っ子のRちゃんが立っていた。
前髪をパツンとまっすぐに切り、ストレートの黒髪を肩に垂らしたRちゃんは、肌触りのよさそうな小花柄の布地のワンピースを着こなして、輝かしい若さのオーラをまとい、物怖じすることなくこっちをまっすぐ見ていた。

そして、いつものハリのある明るい声で言うのだった。
「知代さん! 大丈夫? こんなところで何してるの?」

その声に、私はハッとする。
そうか、あの扉から、私も自由に出ていくことができるのだ。
それなのになぜ、ここで画鋲を飲まなくちゃいけないなんて思い込んでるんだろう?

そして、目が覚めた。

起きてみたら、喉が痛かった。
口を開けて寝ていたせいか、スギ花粉のせいか、その両方のせいかもしれない。
それで、喉がチクチク痛む夢を見てしまったのだろう。やれやれ。

それにしても、なんだったのか、あの奇妙で不快なシチュエーションは?
と自問して、ふと思った。
もしかして、原因はアレかも?

アレとは、前夜寝る前にネットニュースで見た速報のことだ。
日本オリンピック委員会(JOC)の会長だった森喜郎氏(83)が辞任を決意し、川淵三郎氏(84)に後任を託したというニュースだ。

何、この展開? ありえない。
そうつぶやいて床に着いたのだったが、思いの外、私の深層心理に影響したのかもしれない。

周知のように、森氏は2月3日のJOC臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」とか、組織委の7人の女性理事は「みんなわきまえておられて」などと述べ、その女性差別発言が大きな議論を呼び、加えて、その釈明会見で差別への無理解を露呈する発言を重ね、さらに非難の声が高まる流れとなった。

腹立たしい思いで私はニュースを追っていたが、早々に若い女性たちが中心になって立ち上げたインターネット署名活動が単に森氏の女性差別発言を非難するだけでなく再発防止策や女性理事4割達成を求める姿勢を明確に示していたことや、Choose Life Projectでの緊急企画番組「Don’t Be Silent #わきまえない女​ たち」で若い女性たちが多様な視点で明晰かつポジティブに事態を語り合っているのを見るうちに、そうはいっても日本社会も変化していて、とりわけミレニアル世代とさらに若いまさに姪っ子たちのZ世代の女性たちのパワーに希望を感じる1週間を過ごしてきた。


しかしたら悪夢は、そんな私の心情を象徴していたのかもしれないな、と思う(後々振り返ると、別のことを象徴していたと気づくかもしれないけれど)。

そして、私が悪夢から目覚めた日、いったんは会長就任を受諾した川淵三郎氏が一転して辞退することになった。ひとまず、喉のチクチクの1つのチクが取れたように感じた。

この騒動が、これまで日本に巣食ってきた男女差別意識や社会構造を大きく変えていくきっかけになることを願っている。