阿里山カフェ&高麗散策、91歳の父と埼玉いいとこディスカバー!

あちこち散策

母が骨折して入院し、一人暮らしができない91歳の父を札幌から所沢に連れてきて3ヶ月。
気晴らしにどこかに連れていってあげたいと思いながらもなかなか実現できずにいたけれど、所沢市の社会福祉協議会の「わたしのまちの車いすちょい借りステーション」で車椅子をレンタルできたので、いざいざ〜♪と行ってきたのが埼玉県日高市の高麗。

以前、姉が友人たちとハイキングに訪れたことがあり、景色もいいし、おいしいランチが食べられるオーガニック・レストランもあるし、しかも自宅近くのバス停から西武バス→西武池袋線→西武秩父線と乗り継いで約1時間半というアクセスも、ちょっとした遠足にはぴったりよ!というので決めた。

父にとっては久しぶりの電車旅でしたが、車中ではさほど嬉しそうでもなく、淡々と移動。
しかし高麗駅の改札を出るなり目に飛び込んできたのは、「天下大将軍」と「地下女将軍」と書かれた一対の何??? 駅前広場の中央に建てられた2本の柱は、いったい何???……旅のワクワク感が高まるぅ〜。

謎を解明すべく、駅前広場の左手に設置されていた案内板をチェック!

ところが、そこで解説されていたのは、紀元前37年から668年にかけて朝鮮半島北部から中国東北部を治めていた「高句麗(こうくり)」という巨大な国が唐と新羅の連合軍との戦いに敗れて多くの高句麗人が海を渡って日本へ逃れてきて、716年に大和朝廷が武蔵国に「高麗郡」を置いて1799人の高麗人が移住したという歴史のみ。
案内板の左右にも「天下大将軍」と「地下女将軍」が描かれているにもかかわらず、その説明はいっさいなし。えー、なんなのコレ? 謎だぁ〜。

謎につつまれつつ、ひとまず高麗駅を離れてオーガニック・レストランを目指して歩くことにした。ほとんど下調べせず、ゆる〜く出かけてきた。「たぶん、こっちに行った気がする〜」という姉の言葉に従い、電車で来た方向に線路に沿って少し戻り、踏切を渡ることに。

車椅子は持参したけど、「歩けるかぎりは歩く」と言う父。ファイトーッ!

「たしか巾着田(きんちゃくだ)の方向のはず〜」と姉が言うので、この標識を目印にしてGO!(しかし途中の標識は見逃してしまい、往路は車通りの多い道を歩いてしまった。「奥武蔵自然道」の方がだんぜん素敵だし歩きやすかったのに……と気づいたのは帰路でした^ ^;; )。

紅葉に色づいた山を見ながら歩いていたら、91歳の父が言う。「老後はこんなところに住むのもいいだろうなぁ」と。
「老後」……思わず「今だろ!」と姉と突っ込みを入れた。

そうこうするうちに県道川越日高線に行き当たり、右に曲がるとほどなく鹿台橋(ろくだいばし)へ。大きく蛇行する高麗川が、まるで沼のように穏やかに光っていた。

鹿台橋を越えると、今日の第一目的地のオーガニック・レストラン、阿里山カフェに到着。

店名は、創業者の一人フェイさんの故郷である台湾の「阿里山」にちなんで付けられたとのこと。建物は、創業者の一人ジャックさんの故郷のアメリカ風で、カフェスペースは高麗川を望むウッドデッキ。多様性の調和した、ピースフルな雰囲気が漂う。

1980年代末、まだ日本では入手が難しかったオーガニックやベジタリアンの食材を周囲の人たちに「おすそわけ」することから始まったそうで、「土や水を守り、作物が健康に育つ環境、育てる人が健康でいられる環境を守っていくことが、今の私たちや未来の子どもたちの健康につながると考えています」という理念をもって、持続的に安心できる食べものを提供しているお店だ。すばらしい。その理念を社会全体で共有できたら未来は明るくなるだろう。

えんどう豆をベースにした代替え肉パテを使ったベジバーガーや、植物性代替え肉を使った麻婆豆腐も気になったけれど、せっかく3人で来たのだからあれこれシェアしよう!ということでサラダ、チーズピザ、人参とじゃがいものポタージュを選んでみた。どれも見た目も味も大満足。父も「こんなところに来れてよかったなぁ。埼玉にもこんなところがあるんだなぁ」と大喜び。

豆やクルトンが散りばめられた食感も、見た目もカラフル♪
トマトソースとチーズのシンプルなピザ
クミン風味が印象的なポタージュ
姉の誕生日だったので、デザートも贅沢に3品♪

食後は、いよいよ散策タイム。

県道の反対側にある高麗郷古民家(旧新井家住宅)は休館日で見学できなかった。次回は、開館日に合わせて来ようと思う。

そのまま県道を100mほど進み、巾着田の駐車場からは父も車椅子を降りて遊歩道をゆっくりと歩いた。

ゆるやかに蛇行する川、なだらかな山並み、畑や草地……眺めているだけで気持ちも広々とゆるんでくるぅ〜♪
巾着田に真っ赤な曼珠沙華が咲く季節にも、来てみたい。

遊歩道の先には、美しい水路。きっと地元の方々が大切に手入れされているのだろうな〜。心が和む風景に、感謝の念が湧いてきました。自然も人も、ありがたい。

91歳の父も一緒だし、車椅子も押してるし、今回は下調べも不十分だったので高麗神社や聖天院までは足を伸ばさず、阿里山カフェの斜向かいの本屋さんや自然歩道にある農家さんの軒先販売で買い物をして帰ってきた。

また行きたいな、高麗の郷。
「天下大将軍」と「地下女将軍」の謎は、家に戻ってネット検索でなんとなく概要はつかめたけれど、次回は神社のそれも見てみたい。高麗郷古民家も、次回はぜったい見学したい。そして次に行くときは、阿里山カフェでいい香りを漂わせていたカレーをぜひとも食べたいものだ。やり残したことがいっぱい、1日では足りなかった。

最近の出来事はすぐに忘れてしまう父だけど、翌日も翌々日も「あそこは良かったなぁ」と余韻を味わうように言っていた。
「昨日行ったのはどこだったか?」「高麗だよ」、「漢字はどう書くんだったかな?」「タカいと、レイだよ」、「そうかそうか、高麗だな」……と、すでに10回くらい繰り返した。さて、いつまで覚えていられるかな。そして次に行くとき、何を覚えているだろうか。

父が本屋さんでゲットした本
私が阿里山カフェでゲットした本