8月12日から14日、滞在中の札幌から富良野まで足を伸ばしてきた。
移動には、鉄道を選んだ。
札幌から1時間に1本出ているバスの方が便利だし、電車と比べて片道1,000円以上おトクだったのだが、ペット同乗不可の制限がある。愛犬マリアを連れての旅だから、そんなバスは断念し、お財布の紐をちょいと緩めることにしたのだ。
それにしても北海道を前回電車で旅行したのはいつだろう?と振り返ると、あらやだ、大学時代だったから30年以上も昔のことになる。釧路湿原まで一人で旅したことをおぼろげに記憶しているが、詳しいことは覚えていない。思い出すことといえば、どこの駅だったか駅前の古い小さな喫茶店で紅茶を頼んだら、ポットに茶葉ではなく、ティーパックですらなく、店主のおばあさんが粉末を溶かした甘い甘い代物が出てきたことくらいだ。
そんなわけで、北海道の鉄道旅はあまりに久しぶりすぎて、まるで初体験のような気分。
旅の計画を立てようと何度も路線情報サイトや乗換案内アプリで検索してみたのだが、出発時間の設定によって経由駅が違ったり、所要時間もまちまちだったり。いささか混乱。
しかもJR北海道のWebサイトや『えきネット』を見てもおトクな乗車券が何なのか、すぐにわからない。
昔のように分厚い『時刻表』とにらめっこの方がわかりやすいのに。トホホ、くじけた。
そこで大学生の姪っ子の友達で「乗り鉄」の強者がいたことを思い出してLINEで質問メッセージを送ったところ、ほどなく「これが一番おトクです!」とスクショの画面が送られてきた。はやいぞ、若者!
送られてきたのは、「ふらの・びえいフリーきっぷ」の情報だった。
札幌から滝川・旭川までの往復特急列車自由席、そこから富良野・幾寅のフリーエリア内の普通列車自由席が乗り放題で6,500円。
私はシンプルに往復するだけでフリーエリアで気ままに乗降はしないが、普通に往復チケットを買うよりも740円安くなる計算だ。
ところがJRはまだまだアナログで、事前に登録した『えきネット』では購入できず、出発当日少し早めに出かけて『みどりの窓口』でゲットした。
かくして出発。
まずは特急列車ライラック号で滝川をめざす。
その途中、岩見沢駅のホームに馬と橇を発見。
なんだなんだ、かっこいいじゃないか!! きゃーっ、興奮するよ。
調べてみると、岩見沢には2006年まで競馬場があり、馬がそりを引きながら力や速さを競う「ばんえい競馬」が行われていたという。
いったん降りて駆け寄って近くで見てみたい気持ちが沸き起こったが、グッと我慢。特急列車は少なくはないとはいえ1時間に1本くらいだし、そのあとの在来線を逃すと何時間待つことになるかわからない。
札幌から滝川へは1時間弱。
滝川で根室本線に乗り換える。
超久しぶりの鉄道旅。乗り換え時間が6分で緊張したが、なんのことはない、小さな駅では階段を上って下りて1分あれば事足りるのだった。笑
そして根室本線のホームに降り立ってびっくり。
そこで私を迎えてくれたのは、なんと一両の電車だった。
しかもクーラーなしで天井に扇風機というレトロな車両。
乗客自ら窓を上げたり下げたり、扇風機のスイッチを入れたり切ったり。いい感じである。
富良野まで1時間ちょっと、ずっとずっと緑のトンネルを抜けて電車は走り、窓から入ってくる風は清涼で、本も読まず、眠りもせず、ひたすら車窓からの風景を眺めて飽きなかった。
おかげで鉄道旅が大好きになったよ♡
帰路は、美瑛を経由する富良野線で
富良野に2泊しての帰路は、せっかくなので違う風景を味わいたいと思い、富良野線で旭川に出て、旭川から札幌まで特急列車カムイ号に乗ることにした。
富良野線は中富良野、上富良野、そしてとりわけ風光明媚で知られる美瑛も通るだけに二両編成でクーラーも付いていて、行きに乗った根室本線のようなレトロな雰囲気ではなかった。乗客には外国人観光客が多い様子で、中国語が飛び交っていた。
風景は、線路脇に木々が生い茂る根室本線とは異なり、ずーーーっと草原や畑が広がり、遠目に山並み、そして果てしなくつづく空。
「ザ・北海道」が近づいては遠ざかり、また近づいては遠ざかる美しい映像の絵巻物ようであった。心ゆくまで堪能した。
帰りをこの経路にしてよかったなぁと強烈に感じたのは、旭川でカムイ号に乗り換えて出発して程なく、この風景を目にしたときだった。
石狩川。
富良野線で眺めた「ザ・北海道」とはまた違う、これぞ雄大な「北の大地」の光景だった。
畏敬の念が、ドッとあふれてきた。