媒体:『生活と自治』2023年5月号
記事:働くことが社会をつくる(連載11)
「見つけるトビラ」を開く〜ミシンカフェ&コミュニティスペース
「ワーカーズ・コレクティブ紬」
発行:生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
2022年10月から「労働者協同組合法(ワーカーズ・コレクティブ法)」が施行になったのを機に、生活クラブ生協が発行する月刊誌『生活と自治』では連載が組まれ、ワーカーズ・コレクティブの先駆者たちの活動を紹介しています。その連載の取材・原稿のいくつかを担当させていただいています。
2023年5月号は、埼玉県志木市の拠点で「ミシンカフェ」を開催している「ワーカーズ・コレクティブ紬」。作業台やミシンや道具が揃っていて、型紙作りから縫い方までアドバイスが受けられる日が週2日、その他の日は自由に手作りに没頭できるコミュニティスペースを運営しているワーカーズです。
志木駅から歩いて10分ほどの街角にある「ミシンカフェ紬」にうかがった日は、ちょうど「先生」が在所する日で、10人ほどのシニア女性が集まっていました。
ワーカーズメンバー2名と参加者の方々にお話を聞きながら作業や作品を拝見するうちにランチタイムになり、生活クラブの消費材を使った手料理のお昼ご飯も一緒にいただいて、なんだかすっかり満ち足りて、「私もここで手仕事をしてみたいなぁ」という気持ちになっていました。
「営利」を第一の目標とするのではなく、訪れる人それぞれが新しいことに挑戦する入り口を発見できる「場」を運営する。そんな事業のあり方をとても新鮮に感じました。
自分たちのライフステージに合わせ、自分たちの得意を生かして「自分だけのオリジナルを創造する喜びと、手間を惜しまず丁寧に作業する大切さを広める」。賃料や運営費をまかなうのは、そうは言っても容易ではないと思いますが、だからこそ発揮される個々の力がまた生まれてくるようです。
お母さんが仕立ててくれた着物を洋服にリメイクする人、リタイアしてから裁縫にチャレンジして「今はもう生きがいになっています」という人、息子一家の家に滞在中にここを見つけて以来しばしば遠方から来ては長滞在するようになったという人、手仕事する人たちを見るのが好きでコーヒーを飲みにくる人など、いろんな人たちが「ミシンカフェ」に集う。ほんと、とってもあたたかな居場所です。
そこに流れる時間の豊かさに心から魅了されてしまった分、見開き2ページの原稿にまとめるのに苦心しました。
いつか取材なしでチクチクしに行ってみたい!
ミシンカフェ紬