あちらこちらでよく聞く「架空請求」。50歳以上の女性と高齢者は、特に注意しなければですよ!

気になること

最近、「うちにも来た!」「私にも届いた!」というfacebookの投稿をちらほら見かけた。投稿写真は、いわゆる「架空請求」のハガキだったり封筒と書状だったり。

根拠のない請求なのだが、差出人が「民事総合調停センター」「地方裁判所」「訴訟通知センター」など公的機関らしき名称だから、この手の詐欺が横行していることを知っていてもドキっとしてしまうだろう。

しかも、内容が「料金の未払いに関する民事訴訟として訴状が提出された」などという内容で、文面は小難しく、それらしい言葉が並べられているから、「えっ、私が訴えられている!?」と焦ってしまう。

きっと生真面目な人ほど、騙されやすいだろう。
「こんな請求、されるはずはない」「きっと間違いだ、確認しなくちゃ」と思って電話する→ 言いくるめられる→ お金をとられる。

金融広報中央委員会のWebサイト『知るぽると』の『暮らし塾 きんゆう塾』に掲載されているマンガ付きの解説がわかりやすいので、この際、誰の身にも起こりうることなので、以下のリンク先でぜひ学んでみてほしい。
受け取った人の心の反応や、手口の巧妙さなどもマンガだとリアルでわかりやすく、自分ごと化しやすい。おかげで解説文もするすると頭に入るようになる♪

『暮らし塾 きんゆう塾 2019年春号』より『わたしはダマサレナイ!! 第44話』

このマンガと解説は2017年のデータを元に制作されているので、「ハガキ架空請求」が多いと書かれているが、2018年になると封書も増えている。日々進化しているのだ。日頃から情報のキャッチアップを心がけ、罠にかからないようにしなければ。

ちなみに、この『わたしはダマサレナイ!!』シリーズの2010年・第9話を読むと、「架空請求」は携帯電話やパソコンに請求メールが届くパターンが多かったことがわかる。今は郵送が主流になっているとはいえ、将来またカムバックしてくる可能性もあるし、変化球で出現するかもしれない。覚えておこう。

『暮らし塾 きんゆう塾 2010年夏号』より『わたしはダマサレナイ!! 第9話』

いったい、どれほどの「架空請求」が飛びかっているのか?

私自身はまだ受け取ったことがないとはいえ、facebookの知人の投稿でも見かけるに至り、気になってきた。
そこで現状を調べてみた。

2019年6月18日公表の『消費者白書』(消費者庁発行)によると、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた苦情相談件数の総数が、2018年に11年ぶりに100万件の大台を越えた。そしてその4分の1を超える25.8万件が「架空請求」に関する相談だったのである。

相談数をグンと押し上げた「架空請求」。その多さは推して知るべし。

『消費者白書』令和元年版より

ただし相談数の推移を見てみると、実は過去にも「架空請求」が膨大だった時期がある。2003年~2005年を中心にその前後の時期である。

『消費者白書』令和元年版より

特に多かった2004年は、相談件数192万件のうち67.6万件を占めている。その数、2018年の2.6倍である。すごい。
歴史は繰り返すというか、悪は世にはびこっていて、形を変えながら常に私たちを狙っているということがよくわかる。

しかも、この数字は、あくまで相談件数だ。
実際に受け取ったけれど相手にせず相談もせずという人もいるだろうし、はてまたお金を騙し取られたのに泣き寝入りしている人もいるだろう。
いったい、どれだけの「架空請求」が世に溢れているのだろうか。想像すると、うんざりする。

そして2018年の「架空請求」に関する相談25.8万件のうち、約半数の12.8万件の相談が65歳以上の高齢者の相談だった。高齢者のみなさん、要注意ですよ!!
両親はもちろん、近所の高齢者……出会う高齢者すべてに伝えておかなくちゃ、という気になる。

(この表を見ると2014年の1位と2016年の2位に
「アダルト情報サイト」がランクインしているのが興味深いが…)

「架空請求」に関する相談の増加が顕著なことは、先ほどのグラフでも確認したが、65歳以上の高齢者に限定して見ても、その傾向は同じ。
2018年は13万件、2017年の2.4倍である。

『消費者白書』令和元年版より

しかも、増加しているのは50歳代以上の女性だというから他人事ではない(私も50代)。

消費者庁Webサイトより

思えば、facebookで「架空請求が私にも来た!」と投稿していたのは、いずれも50代の女性の友人たちだった。まさに、急増している層なのである(スルーせず、アラームを発する年代だと言えるかもしれないが)。

ともあれ、「自分はダマサレナイ」と思っている人ほど危ないらしい。
だから、
「私はそそっかしいから気をつけなくちゃ」
「詐欺師は上手だから騙されないようにしなくちゃ」
というくらい謙虚に警戒するのがよいのだろう。
相手は、いつ、どこから、どんな手口で罠をかけてくるかわからない。

そして「???」と思ったときは、まずは相談することだ。
電話なら、消費者ホットライン「188(イヤヤ)」がある。「110」や「119」ほど認知度は高くないが、2010年1月から消費者庁が運用している3桁電話番号だ。