介護疲れを、ウクレレに癒されてます♡

日々の楽しみ

昨年の10月、ウクレレを習いはじめた。
きっかけは、地域包括支援センターのLINEで流れてきた、近隣のURが主催する「無料ウクレレ教室」のお知らせだった。


あら、ウクレレ♪
かねてから気になっていた楽器だった。小柄な私でも容易に扱えそうなサイズ感がいいし、音色が軽やか。持ち運びがラクで場所を問わず弾けそうなのもいい。

それが無料で体験できて、しかも1月までの 8 回のレッスンでは楽器を貸してくれると書いてある。初期投資ゼロでお試しできるなんて、絶好のチャンスじゃないの♪ 教室の時間は木曜の14〜16時で、急いで帰ってくればデイサービスからの父の帰宅に間に合うのもグッドだ。
というわけで、申し込み開始日に喜び勇んで電話しましたよ。

で、やってみたら、ほんと、すてき♪
何がすてきって、音色とかなんとかもいいけど、ともかく「できるようになる」が実感できることに、めちゃくちゃ喜びを感じました。もうね、認知症の父と暮らすようになった2021年8月以来、父の世話と家事になんだかんだ私の時間が圧迫され、仕事や市民活動はいつもどこかセーブせざるをえず、ややもすると自己評価が極度に低下しがちな低空飛行なワタクシ。成長を実感する機会など、ほとんどないのですよ。だけどウクレレを始めたら1回目でドレミファソラシドが弾けるようになった! 2回目で「あんたがたどこさ」と「げんこつ山のたぬきさん」が弾けるようになった!・・・と、もう成長著しい。なにせ、スタートがゼロだから、すごい。自分、できる、できる、できるじゃん♪となるわけです。

ところが3回目で、早くもつまずいてしまった。
C、G、F の3つのコードを習ったのだけれど、「C→G」のコードチェンジが、う、う、う、、、できない💦 というか、Gの押さえ方が全然わかんない。もし家で練習できれば押さえられるようになるかもしれないけれど、楽器はない。じゃあ、買うかといえば、本気で好きになるかわからないのに買う勇気がない。買ったのに、どうしてもGが押さえられずウクレレを抱くだけの私・・・なんて想像するだけでテンション下がる。
しかしレッスンは2週間に一回だけ。このまま放っておいたら、あきらめちゃうかも。まずいぞ。
で、考えた。もしかしたら、使っていないウクレレを貸してくれるか譲ってくれる人がいるかもしれない。・・・いるかなぁ?
ダメもとでfacebookに【求むウクレレ♪】と投稿してみた。

すると、なんとなんと、10年以上会っていなかった知人からDMが届いた。
何年か関西で暮らしていたのがちょうど吉祥寺に舞い戻ってきたタイミングとのことで、小さなお子さんを連れての引っ越し直後で忙しく、ウクレレを弾いている暇がないから2ヶ月くらいなら貸してくださるという。きゃー、なんてラッキー、なんてハッピー、ありがたすぎる。

速やかに予定と場所を調整し、うれしい再会を果たしたのがDMをいただいて4日後。以後、毎日、彼女のウクレレで練習できるようになったのでした✨

そして、やはり楽器に触れれば触れるほど、自分なりに工夫を重ねれば重ねるほど、できるようになるもので、数日のうちにGコードを正確に押さえるのも、「C→G」にコードチェンジするのもバッチリとマスターできたのでした👍
要は、指だけじゃなく、肘や手首の角度も微妙に調整しながら弦を押さえればよいのだね。

しかも、思いがけないオマケもついてきた。
マスターしたての「C→G→F」を実践せんと、教本「はじめてのウクレレ」に出ていた「お星さまキラキラ」を、認知症の父の横で練習していたら、なんと父が歌い出したのですよ!「Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are!♪」と、英語で。あらま、びっくり!!
やったことも食べたものも覚えられない&すぐ忘れるの連続の父だけど、大昔に覚えた英語の歌詞は出てくるなんて。しかも、「英語で歌えるなんてすご〜い♪」と褒めまくったら、なんだかご機嫌さんに。とかく不機嫌になりがちな父と過ごす時間を持て余していた私に、「ウクレレの練習×父の暇つぶし=ご機嫌」という一石二鳥にオマケ付きという意外な状況が生まれた。

で、次に出てきたのが、父のためにもレパートリーを増やしたいという欲だった。だって、「Twinkle, twinkle, little star」だけ歌うのは早晩飽きがくるもの。
しかし、読本「はじめてのウクレレ」に載っていて父が歌えるのは、残念ながらほかに「Happy Birthday To You」だけだった。淡い期待を抱いた「森のくまさん」も「大きな古時計」もダメだった。むむむ、、、さて、どうしたもんか。

そこで、父の十八番の「琵琶湖周航の歌」のコードを検索で調べ、歌詞をプリントアウトしてG、Em、G7とかメモし、ウクレレ伴奏で一緒に歌ってみたところ、これがなかな好評で、ご機嫌さん。以後、デイケアから帰宅して夕飯までの時間や、夕飯後から就寝前の時間に、「歌のひととき」が恒例となり、「知床旅情」もレパートリーに加わった。

自宅では、そんなふうにウクレレの楽しみを広げつつ、ウクレレ教室では、「きよしこの夜」、「月の砂漠」、「糸」(中島みゆき)、「世界に一つだけの花」、「エーデルワイス」、「アロハ・オエ」なども弾けるようになり、やがて教室は終了してサークルへと発展。年明けにはマイ・ウクレレを購入し、現在も月2回、UR の集会室に集ってみんなでウクレレを奏でる時を楽しんでいる。一人で練習するのもいいけれど、複数で音を出すときの響きの気持ちよさは格別。教え合ったり、演奏会企画を立てたりするのも楽しい。無料体験教室に参加してみるまで、サークル活動なんて考えたことなかった私ですが、予期せぬ広がりが面白いです。

そんなわけで、ウクレレの楽曲集も2冊ばかり買ってみた。
目下、「え? こことここを押さえると、こんなすてきな音色がぁ!?」「わ!ハワイア〜〜ン♡」とワクワクしながら「アロハ」を何曲か、暗譜で弾けるようになったところ。新しい複雑なコードはすぐには押さえられないけど、何度も試すうちに、より音がきれいに響く押さえ方、よりスムーズなコードチェンジができる指の使い方が身に付いてきて、時間が過ぎるのを忘れるほど集中してしまう。


着替えとかトイレとか、父の介護には「待ち時間」が少なくなくて、何もせずにボーッとしてるとイライラしてきちゃったりするのだけれど、そんなときは弦をつまびく。たまに「うるさい!」と怒鳴られるけど、「琵琶湖周航の歌」を歌っていたら「いいなぁ、今度、レコードに録音しよう」と、たぶん褒められた?感じがしたときもあった。

というわけで、ウクレレ、ありがとう。無料教室を企画してくれたURの方々にも、先生にも仲間にも、そしてウクレレを貸してくれた友人にも、ほんと、感謝しかない。
私、癒されてます。