病院から、思いがけないクリスマスプレゼントが♡

日々の楽しみ

うちの家族にはクリスチャンはいなくて、クリスマスだからといって教会に行くことはないのだけれど、イブの夕飯は洋風にしたりチョコロールケーキをデザートにしたりして、気分はほどほどに盛り上げる。つまり、季節のイベントにほんの少し便乗するだけ。近年はプレゼント交換もしていない。なんというか、なあなあ感がマンネリ化している。

そんな我が家のクリスマスなのだが、今年は、母とのzoom面会というお楽しみを25日に予定してもらった。
8月12日に大腿骨を折って入院して以来、9月末に市立病院からリハビリ病院へ転院したときの妹の付き添い以外、母は家族の誰にも会えていない。週に1度は電話で話し、月に1〜2回はzoom面会もさせてもらっているとはいえ、世の中が華やぐ日はせめて顔を合わせて話せたら喜ぶだろうな〜と思ってのこと。
幸い、担当の理学療法士さんの土曜出勤に当たり、クリスマス面会を可能にしてくださった。

コロナ感染予防でリアル面会が一切できないなか、インターネットを介してパソコンの画面を見ながら話ができるのは、ほんとうに救いだ。姉と私と所沢で過ごしながら母の退院を待ちわびている父も、毎回楽しみにしている(といっても、すぐに忘れちゃって、「俺もママと話したか?」と首を傾げることがほとんどなのだが)。zoom面会は基本10〜15分程度とされているけれど、積もる話をしたり笑いこけたりしているうちにあっというまに30分を過ぎてしまう。病院のスタッフさんのお心遣いに感謝するばかりだ。

加えて今回は面会のあとで、担当の理学療法士さんが母のリハビリの様子を動画に撮ってクラウドで共有してくださった。「今日はクリスマスなので、ぜひお母様の動くところを今日中に見ていただきたいと思いました」というメッセージを添えて。
通常の業務だけでもお忙しいだろうに、こんな粋な計らいまでしてくださるなんて感涙。

クラウドにアップされていたのは、10数秒から1分半ほどの動画5本だった。
ベッドの上での起き上がり、介助してもらいながらベッドから車椅子に移動する、車椅子からベッドに戻る、並行した2本のバーにつかまって歩いて往復する、ベッドの上で膝を起こして腹筋の筋トレをする……さらに一回り小さくなってしまったように見える母が、ゆっくりゆっくりではあるけれど不自由な身体を一所懸命動かしていた。もー、感動だ。

というのも、11月初頭に妹が主治医に聞いたところでは、「リハビリを重ねているものの起き上がりも歩行もできるようになっておらず、自宅に戻るのはかなり難しいだろう」という見立てで、施設入所を真剣に考えねばならない状況だと私たちは覚悟した。そのときに妹が病院から受け取って共有してくれた動画を見ると、母の身体は以前よりも何倍も不自由になっていた。持病のリウマチに加えて10年前に脳梗塞で半身不随になり、昨年夏に熱中症で入院してからさらに身体が動きづらくなり、そして今回の骨折。
「あぁ、もう寝たきりになっちゃうのかな」と正直思った。大腿骨の骨折をきっかけに起きられなくなる高齢者が多いとも聞くから、その道をたどるのも致し方ないのだろうと諦めの気持ちが湧き出てきた。

家族と話し合い、所沢の自宅の近所にある施設に母が入ることができるなら、父との面会も可能になるだろうからいっそ母も連れてこようということになり、近隣の老健、特養、介護付き老人ホームなどをいくつも訪ねて説明を受け、母を連れてくるという選択の見通しがついたところで母に意向を聞いてみたのが11月後半だった。
母は「パパが札幌にこだわらなくて所沢でいいと言うなら、私も連れていって」と言うので、「じゃあ、飛行機の移動に耐えられるくらい、長時間座っていられるようにならなくちゃね!」とエールを送った。担当の理学療法士さんも、「チームで目標を共有してリハビリメニューを考えます」と言ってくれた。

それから約1ヶ月、母はものすごくがんばったにちがいない。目標ができると、成果が出るものなんだなぁ、ほんとに、すごい。理学療法士さんたちも、的確な指導をしてくださっているのだと思う。ありがたい。
11月後半の時点では、20〜30分ほどのリハビリを日に3回する以外はほとんどベッドに寝たきりだと言っていたが、今では日に3時間くらい座っていられるようになったそうだ。まだ介助なしでは一人で起き上がれないようだが、それでもすごい回復だ。

動画を見ると、いろんなシーンでの理学療法士さんの介助方法も見られる。むやみに力を入れるのではなく、膝を曲げて母と同じ高さになって脇下に腕を入れて支え、バランスを取りながら母の動きを最大限にタイミングよく引き出している。これなら、私も何度かやってみたらコツがつかめて、ほどほどに介助できるようになれるかもしれないという希望が見えた。そして不安は、小さくなった。

サプライズの動画5本が、私たち家族に勇気をプレゼントしてくれた。病院のスタッフのみなさんに、心からありがとうございます! 何よりの贈り物でした。