本を買うときは、地元の本屋さんで買うことにします(宣言)

気になること

先日、2冊の本をインターネットで注文した。
おそらく、多くの人が利用しているであろう大手ネット通販サイトA*****で、である。

私がA*****で本を買うのは久しぶりだった。
以前は頻繁に利用していたこともあったのだが、5年程前に病気をした折に「いつ死んでもいいように」と大量の蔵書を手放して以来、本の購入を控えるようにしていたからだ。
その後の私の読書生活は、図書館の本が9割、残りの1割は家族や友人が貸してくれた本、という塩梅で成り立ってきた。

で、A*****で本を注文しようとしたら、そもそもA*****で買い物をするのが久しぶりだったのである。
それで、つい、やってしまった。

何をやってしまったかというと、A*****が執拗に推してくる「P****」という有料会員サービスへの登録ボタンをいつのまにかポチッてしまったのだ。
もちろん、そっちに誘導されないように気をつけていたのですよ。だけど、誘導されないように注意深く、こっちをポチッ、こっちをポチッとして、緊張が抜けてきてしまったところで最後にポチッとした注文ボタンが、あれあれあれ?・・・まさか!だったのである。

どうやら、P****のサービスである「お急ぎ配送」での注文ボタンを押してしまったようだ。それがP****の登録になったようだ。それって、どうよ?だ。
しかし私のアドレスには、「A*****P****へようこそ」というメールが送られてきて、1ヶ月は無料体験だが、その後は500円/月の会費がかかることが示されている。やれやれ、またやっちまった。

有料会員サービスP****に登録すると、お急ぎ配達や配達日指定が無料でできたり、TV番組や映画が見放題だったり、音楽200万曲が聴き放題だったりする。
それを1ヶ月無料体験できるという勧めに乗り、数年前に私は「じゃ、使ってみようかしら」とそのままにして、結果、1ヶ月はあっというまに過ぎて気づいたときには会費が引き落とされていたのであった(当時は月会費ではなく、年会費3千いくらかだったと記憶している)。

当時の私は、「せっかく会費を払ってしまったんだし、使ってみよう」と思ったわけですよ。でも、ちょっと使っただけで、私にはそうした「放題」が体質に合わない、というか、無理ってことを自覚した。
もともと「食べ放題」「飲み放題」には尻込みする方だし、欲しいと思っていない物を大量に差し出されると気力が低下し、判断力が鈍る私だ。やり放題状況に置かれると、むしろ意欲が減退し、無欲化してしまう生き物なのだ。
無論、P****は1年後にほとんど使わないまま解約した。だから、A*****を利用するとしても、P****は不要。

というわけで、今回は即、慌てて購入をキャンセルし、P****の退会手続きをしたうえで本2冊の購入をやり直し、「お急ぎ配達」ではなく通常の配達にして注文ボタンを押し直したのであった。
で、そんなこんなに私は休日の1時間近くを費やした。
なんか、疲れた。

なんでこんなに疲れなければならなかったのか?と自問すると、答えは簡単。
A*****が、P****の無料体験をほぼデフォルト設定していたからである。その幾重にも罠をかけるような誘導に絡みとられてしまったからである。
ムーーーーッ、腹立たしい。

で、このことについて1週間くらい反芻した。
日経新聞3月26日の朝刊の一面記事の「消費者操る「ダークパターン」 国内サイト6割該当」(有料記事)も何度となく思い出された。
今日日、ネット通販を利用すると、買いたくない物まで注文させられてしまったり、必要量よりも多く買わされてしまったりするリスクに消費者はさらされている。そして、そのような仕組みへの規制が、日本では欧米に比べて緩い。
だから、自衛しようとすると、今回のように思いの外、時間や労力を吸い取られてしまうことになる。ああ、腹が立つ。

というわけで、とりあえず私は今後、A*****を使わないことにします。
ネット通販を利用するとしても、不要な買い物をさせる誘導が仕組まれていない通販サイトを選ぼうと思う。
そして、本に関しては、地元の本屋さんで取り寄せて買おうと決めた。

そもそも蔵書をなるべく増やさないよう、購入するとしても時間をかけて厳選する。心から応援している著作家の本や、半年前から始めた仕事に必要な消費者法関連の本に限られる。大急ぎで読まねばならない状況は、ほぼない。だから、取り寄せに時間がかかってもかまわない。

そう考えて、最寄り駅近くの本屋さんに寄ってみた。
立ち並ぶビルの2階以上の窓に「テナント募集」の張り紙が目立ち、寂れた空気が漂う駅周辺。そこに風前の灯で残っている古くからある地元の小さな本屋さんだ。昔ながらの店構えで、入口の外側の両脇にあるラックには週刊誌系の雑誌が並び、こじんまりした店内にはマンガが3割、雑誌2割、文庫と新書3割、一般書籍2割といった配分。疲れることなくグルッと回れる狭さながら、選書がなかなか好ましいことに気づいた。

さっそく新書1冊の取り寄せをお願いしてきた。発行を著者のtwitterで知って2ヶ月近く迷ったあげくに購入を決めた1冊だ。
「取次に在庫がないので2週間ほどかかります」と言われたが、それは織り込み済み。全く問題ない。
問題があるとしたら、書店に寄る機会ができると、買うつもりのなかった本をついつい買いたくなってしまう自分の欲にブレーキがかからないリスクが生じることくらいかな。でも、それは私自身のちっちゃなリスク、というより、お楽しみだな。笑
仕組まれた感、買わされた感に腹を立てる結末には絶対ならないよね。