再び、札幌の老父母のもとへ

日々の楽しみ

3月11日から10日間、札幌の父母の元で過ごしてきた。
年末年始の雑用三昧につづき、2月中旬から姉が10日ほど滞在し、今回は私。

姉と私が1〜1.5ヶ月の周期で訪れ、近所の妹をはじめケアマネさんやヘルパーさんたちの手の及ばない雑用をこなしつつ、定期的に二人を見守るようにしているのだ。

今回私に与えられた第一のミッションは、父の確定申告だった。
というのも、昨年、父は確定申告書の作成に1ヶ月以上かかったようだった。
その間、父は「何度やっても計算が合わない」「頭がおかしくなった」などと不安を繰り返し口にし、母は「寒いのに、パパが夜中も起きて書斎にいて風邪をひかないか心配」「パパの気が狂っちゃったみたい」などと私たちに訴え続けた。遠方に住む姉と私は、ただただ二人の不安を共有することしかできなかった。

無理もない。父は昨年90歳になった。
これまで自分で確定申告書を出してこれたのが奇跡かもしれない(しかも、電卓もエクセルも使わず、そろばんで計算していたらしい)。

そんなわけで、今年は私が助っ人を買って出た。
かつて銀行員だった父は、お金の管理に関しては娘たちに秘密主義を貫いてきた。「手伝おうか?」と提案しても頑として譲らなかった。しかし、さすがに昨年の混迷は自分でも手に余ったのだろう。年末年始の滞在中から準備を進めることも、抵抗なく任せてくれた。

昨今、国税庁のe-Taxのページで順序立てて数字を入れていくと、わりと簡単に間違えることなく申告書が作成できるようになった。私自身も札幌に発つ前に、e-Taxを利用して申告を済ませていた。
とはいえ、父のマイナンバーカードのパスワードがわからず(設定しなかったのか、設定したけど忘れたのかもわからない)、e-Taxで作成した申告書をプリントアウトして郵送する手段を選ばざるをえなかった。
e-Taxでは、マイナンバーカードを作った人でもPWを入れないと申告データを直接送信できない。カードリーダーを買えばできるっていうけどそんなもん買いたくないし、マイナンバーカードがない人は税務署でIDとPWを発行してもらえばできるけど(私はそうした)、父の家から管轄の税務署は遠くて本人行けないし。
なんなんでしょうね、マイナンバーカード。事を複雑化して非効率にすることにしか貢献していないように私には思える。

そんなこんなで、書類を探し出しては該当欄に数字を加えながら申告書を完成し、医療費の領収書などは5年間保存するよう整頓し、不要になった書類は人間シュレッダーになってビリビリと裂いて処分し、母の引き出しの真冬の服と薄手の服を入れ替え、母が「壊れた」というオーディオセットをチェックしてCDの汚れを拭き取って壊れてないことを証明し、合間に買い物に行き、ご飯を一緒に食べ、掃除をして、ゴミを出し、素人ですが父母の髪をカットし、母の入浴を介助し、父と体操したり散歩したりもした。

私が到着した3月11日には道路にまだ雪が残っていて、こんな風にグジュグジュで歩きづらい道もある札幌市中央区だったけれど、

左側は人が歩いてグジュグジュ、右側は除雪された雪がこんもり

気温が10℃近くなった2日を経て、日陰の道以外はアスファルトがほぼ全面に見えるようになり、がぜん歩きやすくなった。おかげで父が大好きな山麓道路まで足を伸ばすことができ、いつものカフェでソフトクリームをご馳走してもらえた。

父はアフォガード、私はソフトクリームとコーヒーを
CAFE VANILLAは、ペット同伴OKだからマリアも一緒に行ける

今回の滞在中、夕食には父母が普段食べている「コープの配食クルリン」を毎日一緒に食べた。夕飯を作ったのは配食サービスがお休みの日曜日だけ。
いつも私がメニューを選んで注文しているから、自分でも食べてみて今後の選択の目安にしようという意図もあったが、家事負担を減らしたいという理由が大きかった。

夕飯のメニューを考え、買い物をして、調理し、片付けもして、滞在の終わりまでに食材を使い切る工夫をするのは、思いのほか労力がかかるものだ。高齢になった父母の味付けの好みや食べやすさや量にも配慮したあげくに、「食欲がない」「これは食べたくない」などという彼らの拒絶にあって心がささくれだつのもよろしくない。
「いつも配食だから、せめて滞在中は手作りご飯を」という気持ちはあるものの、負担が多すぎると余裕がなくなる。雑談したり、二人の暮らしを観察して改善点を見つけたりするには、時間のゆとりと心の遊びが必要だ。だから手作りは、昼食の麺類やホットケーキ、夕食のデザートの小豆やゼリーだけで良しとした。

そんなふうに家事負担を軽減しても、往復の移動日を含めて10日間、二人を中心に据えた生活にそろそろいっぱいいっぱいな気分になって帰ってきた。
とりわけテレビの音の大きさには辟易した。普段、テレビなしの生活をしている私にとっては耐えがたい音の渦だった。新聞や本を読もうと思っても集中できないし、イヤホンをつけて音楽を聞こうとしても圧倒的な音量が忍び込んできて「もうどうでもいいや」な気分になってしまう。やれやれ。

とはいえ、しばらくマイペースの日々を過ごせば、また父母に会いに行くのが楽しみになるだろう。父母のお役に立てるのは、私にとって喜びでもある。老いる姿を見ながら、今後の自分を考えるヒントももらえる。

次は、私の番は梅雨頃か、初夏か。
車椅子にのせて、母を外に連れ出してあげたい。
その頃には、新型コロナウイルス感染が収まっているといいなぁ。

年末年始も飛行機はAirDoを利用。
そのときのキャンペーンで当たったベアドゥちゃんが、私の帰りを迎えてくれました。