「リーダー」とは、誰かがなってくれればいい存在なのか?

気になること

梨木香歩著『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店2020年7月)を読んだ。

タイトルから、なんとなく「こんな人こそ」というリーダー像が示しされる期待を抱いていたことに、読んでいるうちに気づいた。
だけど、この本はそんな単純な期待には応えてくれない。

だから、なんとなくモヤモヤを抱えながら読むことになった。

そしてモヤモヤしながら読み進めるうちに、「これぞ、リーダー」「こんなリーダーなら、ついていける」などというリーダー像には眉唾をつけねばならないということに、じわりじわりと気づかされた。

リーダーと呼ばれる人に決定権を委ねていたら、社会は歪(いびつ)になってしまう。それは、歴史が教えてくれている。
その危うさを、次世代に伝えてくれている人がかつていた。そして現在、次世代に伝えようとしている人もいる。この本のなかで幾度となく引用されている『君たちはどう生きるか』(1937年)の著者である吉野源三郎さん、そして梨木香歩さん自身も、そこに連なる。

集団という群れに所属するまえに、個人として存在する。
それが大切だと著者は言う。

盲目的に相手に自分を明け渡すのではなく、自ら考えて行動できる個人になろう、と著者は言う。

そのためには、自分のなかで自分を見ている目を意識し、自分のなかに埋もれているリーダーを掘り起こすという地道な作業を、日々、積み重ねていくしかない。

咀嚼しながら、地道な作業に習っていきたいと思う。