新型コロナウイルス感染拡大の影響で、暮らしのなかで始めたことや変えたことがいくつかあります。なかでも新しく始めたことの一つに、地元の有機野菜共同購入グループ『特定非営利活動法人 所沢生活村』の会員になったことがあげられます。
で、毎週火曜日、所沢ニュータウンに3棟そびえ立っている16階建てのスカイマンションのふもとの商店街にある「配分所」に、有機野菜のセットと平飼い鶏の卵を取りにいくようになりました。
野菜は、所沢市内のオギノエンファームや栃木県那須烏山の帰農志塾などの有機栽培農園から届きます。
わたしが定期購入することにしたのは、野菜セットSと卵5個。
2人家族で1週間でほぼ食べきり、近所の農家さんの軒先販売やスーパーなどで少し買い足すことがあるかな、くらいの適量です。
何が届くかは、行ってみてのお楽しみ。7〜8種の野菜セットが1,500円前後で、そのときの原価によって若干変動します。
4月後半から5月にかけては、葉物野菜がたっぷりでした。
レタスやサニーレタスが2つ、3つ入っていたこともあって、サラダ三昧の日々。
とりわけ火を通さずに食べる野菜は、農薬や化学肥料が使われていないと安心だな〜と実感しました。そして有機野菜は、味も香りもしっかりしている気がします。
「配分所」に取りに行ってはじめて何の野菜が手に入るのかがわかるという仕組みだと、その日・その週の献立を前もって計画できません。
だから、ちょっと不便な面もあります。
でも、予期していなかった旬の食材が入っているという「お楽しみ」が、なかなか素敵なんですよ。
たとえば、4月の最終週のタケノコなんか、とくに嬉しかったな〜。
だけど、その日になってみないと何の野菜が手に入るかわからないという仕組みも、慣れてしまえばノープロブレム。届いた野菜を見て、何が食べたいか何を作るかを考えればいいだけの話。もともと計画的に献立を決めていたわけではないですし。笑
とくに注意すべきことがあるとしたら、「何が食べたいか」よりも「何が傷みやすいか」を優先し、保存に強い野菜はあとまわしにして、すぐへたれてしまう野菜から食べることくらいでしょうか。
いずれにしても、そもそも野菜本来の味がしっかりしているので、茹でたり焼いたり炒めたり簡単に調理するだけで何でもとっても美味しくて、大満足。
あと、びっくりしたのは平飼い鶏の卵。
1個70円と、スーパーなどの安売り卵と比べると3倍以上の値段ですが、風味が比べものになりません。しかも、狭いケージに入れられたまま卵製造機のように扱われている鶏ではなく、広々とした鶏舎の平らな地面で自由に動き回っている鶏が産んだ卵だと思うだけで、わたしは幸せな気持ちになれちゃうんですよねー。
そんなわけで、コロナ禍を機に、我が家の食卓は以前よりも野菜の消費量が増え、ヘルシーになってきました。
このタイミングで有機野菜の共同購入グループに入った理由は、万が一、流通機能がにぶっても地域のつながりで食料が得られたらいいなと考えたからでした。そして有機農業に力を入れている生産者さんとのつながりを大切にしたいという思いからでした。
加えて、『所沢生活村』の組織に興味が湧いたことも、入会の理由でした。
1972年に、まっとうな牛乳を手に入れたいという女性たちの思いで設立された『所沢牛乳友の会』の活動からスタートし、洗剤や農薬や原発の勉強会をしながら活動を広げ、取り扱い品目を増やし、往時は300人もの会員がいて、運営はすべてボランティアだったというのですから驚きです。
いまでは会員は約60名で高齢化が進んでいるとはいえ、2011年にNPO法人格をとり、専従の事務局が主に事務を担う組織となり、生産者さんたちと会員を丁寧につないでいます。梅干しやらっきょう漬けなどは有志が協力して作り、販売利益を運営費の一部に充てているという手作りの価値観も大切に受け継がれています。
有機野菜のほかに、ジャージー牛の牛乳やヨーグルト、米、豆腐類、豆、パン、魚、豚肉、牛肉など、安心して食べられる食材を扱っていて、どれも美味しそうです。少しずつ、試してみたいと思っています。
わたしはかれこれ20年以上、生活クラブの食材をメインに食べて生きてきました。そこに、地元の人たちが運営する会の食材がプラスされ、さらに地産地消度を高めることができてワクワクしています。
ほとんどの時間を地元で過ごすうちに、ご近所で親しくする友だちができ、おすすめされたのがきっかけという地縁は、コロナ禍という災いが連れてきてくれた福のように感じます。これからも大切にしていきます。
農林水産省のデータをみると、平成30年度の食料自給率はカロリーベースで37%、生産額ベースで66%。
もし感染症の拡大や国際関係の悪化が原因となって各国が自国での食料配分を優先するようなことがあったら、日本人は十分な食べ物が得られなくなってしまいます。不安な状況ですよね。
まずは自分の食卓から地元産・国産の割合を高めつつ、国の食料政策にも関心をもっていこうと思います。