『展望塔のラプンツェル』、スゴすぎる物語展開に完全ノックアウトでした

日々の楽しみ

宇佐美まこと著『展望塔のラプンツェル』(光文社2019年9月)を読んだ。

スゴすぎた。
えーっ!? まさかこの子が、この人に!?
えーっ!? 待って待って、まさかこの時が、あの時に!?

……終盤、それまで並行して語られていた数々の物語が紡ぎ直される。
えーっ!? そうだったの?という強烈なめまいを覚えた次の瞬間にまた、えーっ!? えーっ!? えーっ!? が連続する。
そのどんでん返しの連続は、まるで手品だ。スゴい。

もちろん、スリリングすぎて読み止められない。
寝不足になりました。

えーっ!?と驚くと同時に、「これは、そう」と書いてあったわけじゃないのに自分がそう思い込んでしまっていたのだと悟る。
というか、読者がそう思い込むように緻密に重ね重ね描かれていたことを、どんでん返しによって気づかされるのだ。いや、ほんと、スゴいんですよ。

ともかく読んでみてね、まだ読んでなければ。

物語の主テーマは、世代を超えて受け継がれてしまう児童虐待の過酷さだ。
加えて、心をすり減らされるような児童相談所の職場状況、日本社会での外国人排除や貧困の非情さ、ヤクザ組織のどろどろとした上下関係や抗争などが、これでもかこれでもかと重ねて描かれる。

バイオレンス・シーンが幾度も出てくるし、過酷な状況にあっても子どもと家族の関係性の大切さを考えて行動する児童相談所の職員たちの苦労にも、読みながら息もつけずに胃がキリキリとさせられる。

だけど、終盤のどんでん返しを経て最後にたどりついてみると、読後感は、断つことのできない悪循環はないという希望だった。
命について深く思いを巡らせて描かれいるからこそ、希望の光がさす。

いやー、ほんとスゴかった。
こうして振り返っても、ドキドキが蘇ってくるほどです。