「ナンバープレース」が止められない

日々の楽しみ

このところ、「ナンバープレース(ナンプレ)」に取り憑かれている。

「ナンプレ」は、3×3のマスが縦に3個、横に3個並んでいて、そこに数字を入れていくパズルの一種。縦1列、横1列、そして3×3の各マスに、それぞれ重複せずに1~9の数字を漏れなく入れていかなくてはならない。単純だが、奥が深い。

数字の並びを凝視しながら解くうちに、思考の筋力が鍛えられていく(気がする)。そして解き終えたときの爽快感といったら!

かくして仕事をはじめる前のウォーミングアップに1問、昼食後に1問、休憩時間に1問、ついでにもう1問。ページに記されている「目安時間」をオーバーしていたら、「次は時間内に!」ともう1問。「目安時間」をクリアできていたら、「次はもっとハイペースで!」ともう1問。
あれれ、気づけば休憩時間をオーバーしている。
……ワワワ。これはもう中毒のレベルなんじゃあるまいか。

どうやら巷でも大人気の「ナンプレ」

この数字のパズルのことは、かれこれ15年ほど前に休暇に出かける道すがら、ANAの機内誌で知った。まだ小学生だった息子と一緒に楽しく頭をひねったのを思い出す。
しかし以来、あらためて没頭したことはなかった。

今回のきっかけは、土曜日の日経新聞だった。新聞は定期購読していないのだが、書評が出る土曜日にはときどき買っている。その土曜版に挟み込まれている『プラス1』に、ナンプレを見つけたのは2ヶ月ほど前の9月の中頃だった。

やってみると、普段使わない頭のパーツを使うようで、解答後、すこぶる爽快だった。正解は翌週掲載だから、次の土曜日を心待ちにするようになった。
しかし3週もすると、週に1度では飽き足らなくなった。しかも、やはり書評が読みたくて買った土曜の朝日新聞に挟みこまれていた『be』にも、あらあらナンプレが掲載されているではないか。ところが、こちらは高難度すぎて歯がたたない。キーっ、くやしい。「これは研鑽が必要だ」と思い知らされたのであった。ならば、もっと数多く解くしかない。

買い物ついでに見ると、なんと100円ショップにもナンプレ本の棚がある。初級、中級、上級とあるようだが、人気なのかほとんどが売り切れ。かろうじて残っていたのが中級で、とりあえず買ってみた。
ところが帰宅後やってみようとページを開くと、気分が悪くなるのである。軽い頭痛、そして目がチカチカする。そして手に持つのも、なんとなく不快。手首あたりが痛む気がする。よからぬ何かに反応しているようだった。いったん横に置いておいたのだが、翌日も触れると同じ反応が出る。インクだろうか?紙だろうか? 原因はよくわからないが、体に悪そうなので捨ててしまった(ごめんなさい、資源を無駄にしてしまいました)。

でも、ナンプレはやりたい。
あらためて近所の本屋に出かけてみると、何冊も出ている。どれも550円~600円の値段で、しかも分厚い。いずれも250題ほど掲載されている。カフェでコーヒーを飲めば1杯分の値段で、こんなにたくさんのナンプレが解けるとは♪ もう、ドキドキワクワク♪

解答が2ページ後に出ていて見やすそうだったのと、
レベルが少しずつ上がっていく構成もよさそうだったのでコレを選んだ。

そんなわけで252題も出ている本を買ってきてしまった。
そしたら止められない。どーしましょう。
寝ても覚めてもナンプレがやりたくて仕方ない。
他のことをしていても、ピタっとはまる数字を探りだしたときの快感がふと体を駆け巡る。そして思うのである、「ああ、やりたい!ナンプレがやりた〜〜〜い!」

しかし、ナンプレだけやっていては生きていけない。
仕事もしなくちゃ、資格試験の勉強もしなくちゃ、家事もしなくちゃ。そうしなければ生活はボロボロになってしまう。日々、葛藤である。

葛藤しつつも、合間合間にナンプレに没頭する。
というのも、ナンプレによるプラスの効果はかなりある(ような気がする)からである。
活性化された(ような気がする)頭であれこれ考えたりやったりすると、他のこともいつもよりスピーディに的確にこなせる(ような気がする)。
とはいえ、いわゆる単なる依存症なだけで、自分に言い訳してナンプレに夢中になっているのかもしれないが……実のところ、どうなの?自分?
葛藤が、さらに深まる秋の夕暮れ。