所沢市における犬の飼い主に向けた看板に関して観察してみた

気になること

毎朝、犬を連れて近所を散歩している。

そして毎朝、犬のふんを持ち帰らない人がいることに気づく。困ったものだ。
毎日、道のそこここにフレッシュなそれが放置されているところを見ると、近所に住んでいる人が犬を散歩させてそのままにしているものと思われる。たまたま遠くから散歩にきた人が、「ま、近所じゃないし」と知らんぷりしているわけじゃなさそうだし、その量や放置場所の分散具合を見るに、一人一匹だけではなさそうだ。

犬好きの私ですら不愉快なのだから、犬を飼っていない人にとってはずいぶん腹立たしいことだろうと想像する。一飼い主として、申し訳ない気持ちになってしまう。
とはいえ、さすがに落ちているふんを全部を拾って歩く気にはなれず、うちの犬の落し物だけ拾って帰ってくる。ごめんなさい。

そんな状況は、おそらく今日に始まったわけではないようだ。というのも、そこそこ年季の入った看板を私の住んでいるニュータウンのあちらこちらで見かけるからだ。

こういうのとか、

こういうのとか。

そして最近、運動不足解消のためにウォーキングをしながらニュータウン外に散歩範囲を広げているうちに、新たな看板と出会う機会が増えてきた。

4日前には、スーパーのヤオコーの裏手にある雑木林を抜けたあたりで、こんな謎めいた看板を見つけた。

笑えるので、Facebookに「さて、穴埋め問題です。」と投稿したところ、

犬のフンでみんなが迷惑しています。犬のフンは必ず飼い主が片付けましょう。」という直球ストライクのほかに、

安倍さん発言でみんなが迷惑しています。選挙には必ず行って投票しましょう。」という世相に対する辛辣な批判を込めたコメントを寄せてくれた友人や、

コロナのせいでみんながステイホームしています。外出の際には必ずうがい手洗いをしましょう。」と、これまた時世にあった標語を考えてくれた友人もいた。

そして「赤い塗料は消えちゃうんだよねー💦これを踏まえて看板を作るべき」という忠告コメントも。なるほど、赤い塗料は太陽光で劣化しやすいんですね、知りませんでした。

そんなこんなで自分が投稿した写真を繰り返し見るうちに、「この看板、どこかで見たかも?」とおぼろげな記憶が蘇ってきた。
しかも、以前もFacebookに投稿したような?
……で、たどってみたら、2016年10月に同じような看板の投稿をしていたことがわかった。やれやれ、年月が経っても、私の発想も趣向も変わりばえしていない。笑

しかし当時のは、同様に文字が抜けていたが、タイトルとイラストは残っていた。なるほど、元の看板はこんなだったんだな。犬が片目をつぶって舌を出しているのが、なんとなく確信犯っぽく見えなくもないのがこの看板の特徴だ。

と、あたかも元版を確認した気になっていたのだが、意外なことに灯台下暗しだった。

今朝、恒例の朝の散歩をしていたら、なんとなんと大元をごく近所で見つけてしまった。
なるほど、最初のは青も赤も消えちゃって黒だけ残り、次のは赤が消えちゃって青と黒が残っていたのだな。大元は、黒、青、赤の三色だったのね、たぶん(褪せてしまった色が他になければ)。

でもね、見ると、この看板、地面にずり落ちちゃってるじゃないですか。
もともとは、おそらく、この棒の先に縛り付けられていただろうに。

看板も、モノ。
必ずや劣化の運命をたどることを、重ね重ね私に教えてくれるのであった。

こちらの元は、どんなのだったのかな。
余白には、何が書かれていたのかな。そもそも色はブルーだったのかな。
「うーむ?」と考えていたら、このブル公のような困ったちゃんの顔になってしまいそう。

やはり4日前、雑木林を抜けたところで、こんなのも見つけた。
なんだか、気取って「ふん♪」と気取って歩いてるご様子。

でも、もちろん予想どおり、「ふん」は「ふん」。
10mほど先に行ったところに元看板があった。

この看板では、「ふん」が自ら「放置はダメ!」と怒っているのも特徴だ(むしろ、「置いていくな!」というセリフの方がぴったりに思われるが)。
しかも、「犬の登録・狂犬病予防注射も忘れずに」と呼びかけているのも、どうやら「ふん」のようだ。なかなか饒舌でお節介な「ふん」なのである。

毎朝、近所で見かけて、「元はどんなだったのかな〜?」と首をかしげていたこれは、

昨日、ニュータウンを出て北側の茶畑に沿ってずっと行ったところで元版を見つけた。

ふんを「お持ち帰り」って、ずいぶん丁寧なワンちゃんだね。
もしセリフがなければ、袋の中身はソフトクリーム?と誤解しそうな形状のイラストだし。笑

眺めているうちに、あらためて、うちの犬のふんも道に捨て置かれているふんも、こんな形はしていないことに思いいたる。「とぐろ=うんこ」というステレオタイプって、なんか変だわ。

さて、この看板にいたっては、ちょっと怖い。笑
(最近話題の「自粛警察」の言葉が頭に浮かんでしまった汗)

よーく見れば、「済票」と「鑑札」の札を首からぶらさげている。しかし、まるで投球を待ってバットを構えるかのごとくに持ち上げている看板は何? 物言いたげな雰囲気は伝わってくるけど、何が言いたいのか、さっぱりわからん。

しかし、別の場所で同類のを見つけた。
かろうじて積年の劣化にあらがってうっすらと浮き出る標語は、なんとなんと、「あなたの街を美しく」。

そんなお顔で、そんな威圧的に、しかも看板on古い看板のその雑然とした雰囲気を背景に、「美しく」って言われてもねぇ。思わず、「美って、なんでしょう?」……とワンコの目を見つめて問うてしまったよ。

それにしてもワンコが掲げる看板には、いったい何が書かれていたんでしょうね。それはミステリー。解明されるときは、いつ訪れるだろうか。

こうして、まだ歩いたことのない道を探索する楽しみが、また一つ。

しかし看板とは、総じて面白くはあるが、美しくはないものに思えてならない。
そもそも、これだけ看板があるにもかかわらず、ふんの放置が止まらないところを見るにつけ、その効用が疑われる。いっそ、街を美しくするために、このように劣化の激しい看板を全て撤去してみてはどうだろうか。その結果、放置されるふんの量が激増するようなことが万が一あったら、あらためて看板の設置を検討すればいいんじゃないかな。