合格できました!! 消費生活アドバイザー資格試験。いっしょけんめい勉強した昨年後半から、試験本番までを振り返る

仕事について

昨年2019年の10月13日(日)の第1次試験、そして12月8日(日)の第2次試験を経て、『消費生活アドバイザー』の資格を得ることができた。私にとって初の資格試験へのチャレンジだった。うれしい。ほんとうに、うれしい。

公表されている最終結果によると、1次試験の受験者は1,402人で合格者数673人、合格率は48%。2次試験の受験者は875人で合格者528人、合格率は60%。最終合格率は32.3%。すごく狭き門ではないが、広き門でもない。

この資格は、「消費者と企業や行政の架け橋として、(中略)幅広い分野で社会貢献を果たす人材を養成することを目的として(「消費生活アドバイザー」のWebサイトより)」いるだけに、試験科目は「消費者問題」「消費者のための行政知識・法律知識」「消費者のための経済知識」「生活基礎知識」という広範に及ぶ。
第1次試験は70分×3時限、各18~19問の時間割でマークシートの解答方式。第2次試験は60分×2時限で、それぞれ800文字の小論文という内容だ。

私がこの資格試験にチャレンジすることを決めたのは、2018年の終盤。東京都の多摩地域のH市の消費生活センターで相談員をしているOさんが、「受けてみたら?」と勧めてくれたのがきっかけだった。
「試験まで1年近くある」とノホホンとしているうちに5月中旬になり、「まずいぞ、半年を切ってしまった!」と焦って勉強方法を抜本的に見直してリスタート・ダッシュを切るつもりが、会社の清算手続きや介護でモタついてボチボチとしか勉強がはかどらず、結局、必死にガリ勉したのは9月に入ってからだった。焦ったのなんの、あと1ヶ月半しかない。250ページほどの「試験対策テキスト」が5冊、同様の過去問題集がやはり5冊あるのだ。自由になる時間のほとんどは勉強した(といっても、ウォーミングアップと称して「ナンプレ」もよくやっていたが笑→「ナンバープレイス」が止められない)。

そんなわけで焦りに焦った試験勉強のラストスパートだったが、それよりも第1次試験の数日前からの焦りは予想外のドキドキハラハラだった。というのも、過去最強クラスの台風19号(Hagibis)が近づいてきたのである。ご存知のように、この台風では、これまでに記録したことのないような大雨が降り、1都12県で大雨特別警報が発表され、大規模な河川氾濫や土砂災害が発生した。まさか、台風が試験日と競争するように襲来するとは予想していなかった。

大型台風の接近が予報されていた試験3日前、サポートセンターから「現時点において第1次試験は、予定通り実施することとしています」とメールが届いていた。
そして前日12日には、ついに台風19号がゆっくりと北上して伊豆半島から上陸。正午頃、サポートセンターから「一部会場での試験時間繰り下げ」というメールで、東京会場は集合時間10時の予定が11時10分に繰り下げとなったと知らされた。2,000人余りの受験申請者が全国にいる試験で、事務局の方々はどれほど悩まれたことだろう。想像するだけで胃がキリキリしそうだ。
その時点で、東京と近郊の鉄道全線は全面的な運転見合わせがアナウンスされていて、再開は翌日13日の午後が目処とのこと。暴風雨が刻々と激しくなり、家中の雨戸をしめてラジオニュースを聴きつつwebサイトで台風の進路と速度をにらみつつ、そのかたわらで往生際悪く単語カードをめくりつつ、「いやはや、私、会場まで行けるんだろうか?」と不安にならざるをえない状況になってしまった。

私の自宅は埼玉県所沢市にあり、会場の明治大学の和泉キャンパスに行くには、いくつかの経路がある。いずれも通常なら1時間ちょっとで着けるが、状況次第で予測はつかない。
経路としては、①西武新宿経由で、新宿から小田急線か京王線で明大前へ、または②西武新宿線の東村山から西武国分寺線、JR中央線の国分寺から吉祥寺へと乗り継いで京王井の頭線で明大前、あるいは③西武新宿線の西武柳沢駅からバスで吉祥寺、京王井の頭線で明大前へというパターンがある。
しかし、いずれにしても西武新宿線で都内に向かわなければならないから、もし翌日朝、西武線がストップしていたらお手あげだ。googleマップは徒歩で5時間余と教えてくれるが、さすがに早朝からの長時間ウォークのあとで70分×3の試験を乗り切れるほどタフじゃない。「再試験の実施:10月下旬から11月上旬のいずれかの日程で東京地区において実施します」とお知らせメールには併記されていたから、「西武線が不通だったら再試験だな」と腹をくくって就寝した。こんなときでもぐっすり眠れるのは、私の強みだ。

幸い、翌朝は風が強かったものの青空が見えていた。そして西武新宿線は朝から運行を再開していたが、小田急線と京王線は昼頃まで不通。京王井の頭線もほどなく運行再開したことがわかったから、必然的に③の経路で行くことに決まった。かくして8時頃に家を出て10時前に会場に到着。余裕をもって、試験を受けることができた。西武線沿線に住んでいたことが、これほど喜ばしかったことは初めてだ。ありがとう、西武電鉄!
試験会場で私のすぐ後ろの席だった女性と帰り道におしゃべりしたところ、お住まいは川崎で、電車が不通だったからタクシーで8,000円かけて来たそうだ。散財になってしまってお気の毒だった。公共交通が使えずタクシー代をかけざるをえなかった人は他にも少なからずいただろうし、台風で被災して受験をあきらめた方もいらしたであろうと思うと、他人事とは思えず胸が痛む。

2次試験への備えは、小論文30本ノック

第1次試験の合格は65%の正答と知らされていた。
自己採点で75%程度正解だったから、ほぼ1ヶ月後の11月15日の合否発表を待たずに2次対策をすぐさまスタートするつもりだったのだが、数日ほっこりと休み、ずるずると壁のペンキ塗りとか介護とか遠方の企業訪問などで出足が遅れ、結局、ガリ勉に突入したのは11月に入ってから。またもや1ヶ月半を切ってのラストスパートになってしまった。
その段になって、過去問題集の記述に「1次試験に受かってから小論文対策をしても遅い」と書かれていることに気付き、焦ったのなんの。いやはや、1次の試験勉強から小論文を視野に入れて対策すべきだったのね……トホホ。でも、ため息をついている暇はない!

第2次試験は、1時限目は「消費者問題、行政知識、法律知識1・2」の4題から、2時限目は「経済一般、企業経営、生活経済、環境・エネルギー」の4題から、それぞれ1題選んで60分で800文字の小論文にまとめるというものだ。
長年、編集者・ライターとして文章を書く仕事をしてきたとはいえ、小論文スタイルにはまったく慣れていないから、はじめは過去問に戸惑った。でも、いくつか書いてみるうちに800文字では深堀りはできず、ともかく大風呂敷でいいから概要説明をまとめることに集中すべきだと理解した。
焦りながら科目ごとの過去問をこなすうちに、「このままじゃヤバい、不得意科目は捨てよう」と心を決めた。というのも、法律も経済も私には難しい。難しすぎるのだ。要点もキーワードも覚えるのが容易ではないうえに、論点と文体をそれらしくまとめるのはハードルが高い。そこで「消費者問題」「行政知識」「企業経営」「生活経済」「環境・エネルギー」に絞ることにした。試験1週間前には、統計データを覚えきれないので「生活経済」も見切りをつけた。「二兎を追うもの一兎をも得ず」というくらいだから、二兎を得るためには、八兎を追うより四兎を追うほうが得策なのは自明ではないか。そうこうしながら分野を狭めつつトータルで30本ほど書きなぐったところでタイムアウト。
本番では「消費者問題」と「環境・エネルギー」の課題を速攻で選べたのが、合格の要因になったと思う。60分の制限時間のなかで、設問4題から1題を選ばなければならないのだが、私の場合、すでに取捨選択してしまったので2題から1題を選べばよい。課題を選ぶ時間が短かくなるぶん、要点整理と小論文に費やせる時間は長くなる。作戦は、功を奏したといえるだろう。

2次試験には面接もあった。受験を勧めてくれたOさんの「普段のままで大丈夫よ」という言葉を信じて、準備はほとんどしなかった。小論文試験後に4時間以上の待ち時間があったから、会場の明治大学中野キャンパスからぶらぶらと街を散歩して、一休みしたカフェで過去問の記述にざっと目を通し、「この試験を受けた動機は?」と聞かれたら答えることだけ考えておいた。
面接の試験官は、男女1名ずつの2名。女性の試験官が旧知の友人にとても似ていたから、まるで友人と話しているような心持ちで、10分ほどの面接時間はそれほど緊張することなく過ぎてしまった。

試験という目標があって救われた昨年後半だったなぁ

昨年2019年は、私にとって大きな節目の年だった。
7年間、仲間と運営してきた会社を解散したからだ。

小さな小さな零細企業だったが、東京の森と都市生活者をつなぎたいという熱い思いで立ち上げた会社だっただけに、悩みに悩んだ末の決断だった。
そして、次に何をするかという具体策が見えないままの決断だった。
3月に解散を決断し、4月から解散登記、2回分の確定申告、清算登記などの手続きが夏までつづいた。そうした手続きをこなしながら、次の具体策が見えてこないことに私の焦燥感は膨張していった。
もし、「消費生活アドバイザー」の資格試験を目指していなかったら、その焦燥感の圧迫に耐えられなかったかもしれない。だから、受験を勧めてくれたOさんに心から感謝している。
しかもOさんは、1年近く試験勉強を伴走してくださった。彼女の職場の相談員仲間も誘って狭山丘陵を中心にあちこち散策に連れていってくれて、ご自宅でササっと美味しいご飯を準備してくれて、そのあとで消費者問題の要点を解説してくれるという「勉強会」を月に1〜2回のペースで企画してくださったのだ。
「勉強進んでる?」と口だけでプレッシャーをかけられたら辛くなるところだが、学ぶことが楽しくなるようにウォーキングとランチをセットにして、さりげなくサポートしつづけてくださったのだ。Oさんの存在なくして、私の受験も合格もなかった。こんなタイミングで出会い、導いていただいたことは、私にとって幸運以外の何ものでもない。

資格試験に合格したからといって今、次の具体策がクリアに見えるようになったわけではないが、挫折感にひしがれながらも打ち込んだ試験勉強の日々が、私のこれからの道を多少なりとも固めてくれたに違いない。少なくとも、こうして学んだことは、これからの仕事や編集企画に活かせると確信している。
バージョンアップした私と協働したいと思ってくださる方との出会いを、心待ちにしています。