保健機能食品の名称の紛らわしさについて、しつこく分析してみた

気になること

わけあって食品表示制度の各名称を覚えようとしているのだが、なかなかどっこい、何度も試みているのに記憶が定着しない。
諦めたくなる。でも諦めたら試験に落ちるかも。どうしよう?

そこで、なぜ覚えられないのか徹底的に分析してみることにした。

私が今、覚えようとしているのは、これだ。

総称が、「保健機能食品」。
そして、含まれる制度の名称が4つ並んでいる。

栄養機能食品
機能性表示食品
特定保健用食品
特別用途食品

どれも漢字6~7文字。(※この羅列を見ても心穏やかに意味が読み取れる方は、以下を読まなくてよろしい。)
私には、どうしても「漢字の塊」にしか見えない。
覚えようとしても目と脳が繋がらない。頭が固まる。心が萎える。そして拒絶感が満ちる。困ったものだ。

でも、こうして並べてみて、わかったことが一つある。
何かといえば、どれも最後に「食品」が付いていることだ(って、並べてみなくてもわかるか笑)。

つまり、「食品」という漢字2文字を取れば、もともと6~7文字の漢字熟語が4~5文字になる。塊感が少し和らぐに違いない。

さて、どうだろう? 見てみよう。

保健機能
 栄養機能
 機能性表示
 特定保健用
 特別用途

いやいや、困った。
まだ塊感が激しいではないか。
左目と右目が、寄り目になってしまいそうだ。

しかし、こうして「食品」を取ってみたら、また気づいたことがある。

保健機能
 栄養機能
 機能性表示
 特定保健用
 特別

▼「機能」が3つに含まれる。そのうち1つは「機能性」で「性」が付いている。
▼「保健」が2つに含まれる。そのうち1つは「保健用」で「用」が付いている。
▼「特定」と「特別」という似たワードがある。
▼「保健用」と「用途」で「用」がダブって見える。

……だから紛らわしいのだよ。

いったい誰がこんな紛らわしい名称を付けたのだろうか。
考えた人たちを呪いたくなる。「制度として、どうよ?」と喧嘩を売りたくなる。
しかし諦めずに見てみよう。

おそらく制度と名称を考えた人たちには、その人たちなりのロジックがあるはずだ。というか、少なくともロジカルに表現しようと練られたネーミングであるに違いない(誰かが覚えようとするときに苦労をさせない配慮は欠けているとしても)。

というわけで、漢字4~5文字を分解して「の」を入れてみることにしよう。

保健機能 = 保健の機能
栄養機能 = 栄養の機能
機能性表示 = 機能性の表示
特定保健用 = 特定の保健用
特別用途 = 特別の用途

どうだ? ちょっとは取っつきやすくなってきた気がするかな?

さらに噛み砕いて翻訳してみることにする。
翻訳にあたっては、冒頭で取り除いた「食品」を戻すと良さそうだ。

保健機能 = 保健の機能 ⇨ 健康を保つ機能がある食品
 ⇨ (意訳)健康を保つために機能する食品

栄養機能 = 栄養の機能 ⇨ 栄養の機能がある食品
⇨ (意訳)ある栄養成分が機能する食品

機能性表示 = 機能性の表示 ⇨ 機能を表示した食品
⇨ (意訳)どのような機能があるかを表示した食品

特定保健用 = 特定の保健用 ⇨ 特定の健康を保つ食品
⇨ (意訳)特定された健康を保つための食品

特別用途 = 特別の用途 ⇨ 特別の用途のための食品
⇨ (意訳)特別の用途に適した食品

なんとなくではあるが、少しは理解できてきたような気がする。

そして、私なりに深く理解できたことが1つあった。
それは何か。

そもそも、これらは食品に表示するための名称である。
だから「機能性表示食品」に含まれる「表示」はダブっていやしないか? そしてこのようなダブり感が、覚えようと努める人の目をくらませる。私の記憶の定着が妨げられていた大きな原因の1つは、ここにもあったのである。かなり良くないネーミングだと言わざるをえない(←と、あえて上から目線で断言してみた笑)。

それぞれの特徴も把握しておこう

以下に、それぞれの要点をまとめておく。
※興味のない方はスルーを。あくまでこれは私の試験対策勉強(←あえて漢字6文字にしてみた笑)である。

栄養機能食品(ある栄養成分が機能する食品)
機能に関する表示ができるのは、以下の栄養成分。

脂肪酸(1種類):n-3系脂肪酸
ミネラル類(6種類):亜鉛、カリウム※、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
ビタミン類(13種類):ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸
(※錠剤、カプセル剤等の形状の加工食品にあっては、カリウムを除く。)

「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」と表示しなくてはいけない。
つまり、規格基準に適合していれば、個別審査は受けなくても表示できる

機能性表示食品(どのような機能があるかを表示した食品)
販売日の60日前までに、以下の事項を消費者庁長官へ届け出る必要がある。
表示の内容、食品関連事業者に関する基本情報、安全性の根拠に関する情報、機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制、その他必要な事項

特定保健用食品(特定された健康を保つための食品)
①特定保健用食品
健康増進法により消費者庁の許可または承認を受け、特定の保健の目的が期待できるという表示を認められた食品。
例:「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」など

②特定保健用食品(疾病リスク低減表示)
関与成分の疾病リスク低減効果の科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められ確立されていて、疾病リスクが低減されるという表示が認められた食品。
現在認められている関与成分は「カルシウム」と「葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」のみ。

③特定保健用食品(規格基準型)
特定保健用食品としての許可実績が十分あるなど、科学的根拠が蓄積されている成分について規格基準が定められている。
消費者委員会の個別審査なく、消費者庁で審査されて規格基準に適合した食品。

④条件付き特定保健用食品
特定保健用食品の審査で要求している科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として消費者庁から許可された食品。
許可表示:「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。」

特定保健食品=通称「特保」にはマークがある。

◉ 特別用途食品
乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復など特別の用途に適する食品。消費者庁の許可を受けて表示できる
病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調整乳、えん下困難者用食品。
表示の許可に当たっては、許可基準があるものについてはその適合性が審査され、許可基準のないものについては個別に評価される。

特別用途食品には、マークがある。

……さて、これだけまとめれば、さすがに覚えられるかな。