トルコ料理を味わいに、ちょこっと練馬までリトルトリップ♪ 料理は国際交流の基本だとあらためて思う

日々の楽しみ

先日、西武池袋線・都営大江戸線の練馬駅近くにあるトルコ料理店『ドルジャマフセン』で、トルコ料理を味わい、リトル・トリップ気分を楽しんできた。

幻の「サツマイモ入りバターチキン」は、もう二度と食べられないのインド料理店『ルチラ』(東久留米)につづいて、ふたたび西武池袋線沿線で姉と姪っ子と3人での食事会という流れになったのだ。

なぜトルコ料理かというと、姪っ子が大学の授業でトルコについて調べて発表しなければならないと聞き、食いしん坊の姉が「それなら、まずはトルコ料理を食べてみなくちゃ!」と旗を振ってくれたのだ。
ふふふ、私はお気楽に、お相伴♡

トルコ料理といえば、私はパリに暮らしていたときにトルコピザをよく食べたものだった。
薄いピザ生地に、羊の挽肉とトマトとピーマンのミートソース的なものが載っているトルコピザは、美味しいうえにお財布にもやさしかった。カウンターに座ってササっと食べれて、マクドナルドなんかにはないスパイスの効いた民族性も味わえる素敵なファストフードだった。

しかし、トルコピザ以外にどんな料理があるんだろうか? まったく知らなかったことに、今回気づいた。

しかも姪っ子が言うには「トルコ料理は、世界三大料理のひとつなんだよ」。
ふむ、全然知らなかった。
トルコ料理=トルコピザという極めて狭義なトルコ料理観しか、私は持っていなかったのだ。
世界に名をとどろかせる名料理のひとつであったとは、いやはやお恥ずかしい。

さらに「世界三大料理」とは、フランス料理、中華料理、トルコ料理なのだそうで、それも今回初めて知った。かつて大きな権力を誇る宮廷があり、その支配力とともに料理を広めていったという歴史があるのが、その3つの共通点であるらしい。

そんなわけで、むろん、日本でトルコ料理店に行くのはこれが初めてだった。
なぜ練馬駅近くの『ドルジャマフセン』を選んだかというと、新宿や池袋のような人混みは避けたかったという理由もあるが、お店のWebサイトがアットホームで好ましかったからである。
オーナーシェフはトルコ人。ホール担当は、その妻の日本人女性と書いてある。「ABOUT US」には家族のスナップショットも載っていて、「トルコ愛を余すところなく発揮して、正統派のトルコの味を伝えるために日々奮闘中」とあり、愛と熱意がダイレクトに伝わってくる。
きっと、姪っ子の質問にも嫌な顔ひとつせずに優しく答えてもらえるだろうと思ったのだ。

そして予想どおり、メニュー選びのアドバイスから、食材や料理方法、トルコは1人あたりの小麦消費量が世界一だという話、バラエティに富んだエキメキ(パン)があるという話など、トルコ料理のABCを丁寧に、素敵な笑顔で教えてくださったのだった。ありがとうございました。

この日、まず最初にいただいたのは、6種のメゼ(前菜)。ほとんどがペースト状で、自家製の薄いエキメキ(パン)につけて食べると、もう止まらない。

ひよこ豆とゴマのペースト「フムス」、20種の野菜とスパイスの「アジルエズメ」、白チーズとヨーグルトの「ハイダリ」、
人参とヨーグルトの「ハイダリ」、ナスのペーストのヨーグルト和え「エズメ」、白いんげん豆のサラダ「ピヤズ」

それから「チョパンサラダ」。角切りの野菜を、トルコ産のザクロ濃縮液を使ったドレッシングで和えてある。ほどよい酸味と甘みは、ザクロかぁ。

シャキシャキとした歯ごたえが後を引くシンプルなサラダ

そしてメインディッシュは、ナスとラム挽肉とトマトの煮込み「パットルジャン・ムサカ」と、チキンシシケバブ「タヴクシシ」。細いパスタ入りのバター風味のご飯「ピラウ」と合わせて。

噛むとジュワっと油が湧き出るナスとラム挽肉の香りが「ピラウ」と合う!
2種のピラウが添えられたチキンのシシケバブ

デザートも3つオーダーして、もちろんシェア。

シロップに浸したピスタッチオのパイ「バクラヴァ」 は、アラブのお菓子に似ていた
国旗の模様がシナモンで描かれたライスプリン「ストゥラチ」
のびるアイス「マラシュ ドンドルマ」。のびるのは、ラン科の植物「サーレップ」の成分が入っているから

どれもこれも、たいへん美味しゅうございました。ごちそうさま!

しかし、私にはちょっと疑問が残った。
その昔、ギリシャを旅行したときに食べた料理が、こんなんじゃなかったかな……と、遠い記憶が疼くのだ。デザートのピスタッチオのパイは、パリでモロッコ人やチュニジア人がやっているアラブ系の店で売っていたお菓子と酷似しているように思える。
いずれにしても記憶に霧がかかっているので、同じなのか違うのかよくわからない。なにしろ25年や30年も昔のことなのだ。
しかしその類似性は、トルコの歴史や地理をひもとけば理解できるものかもしれない。
宿題にしよう。

1週間後の姪っ子の課題発表は、いたって評判がよく大成功だったそうだ。
それを聞いて、「やっぱり知的好奇心は料理から、よね」と食いしん坊の姉も大満足。

そもそも姪っ子が課題としてトルコを選んだのは、小学校の頃の思い出がきっかけだったそうだ。
いろいろな国の留学生が何人かで学校を訪ねてきて、交流する授業があったというのだ。
そのときにトルコ人の留学生と遊んだ楽しい記憶が残っていたから、あえて行ったことのあるフランスやイギリスではなくトルコを選んだというのである。
そう聞くと、草の根の国際交流は大切だな、と思う。

安倍首相率いる政府は今、奄美群島から沖縄諸島、宮古列島、八重山列島を含む南西諸島に約1万人の自衛隊の配備を進めていると聞く。そんなことに高額な予算を使うより、中国人だの米国人だの留学生をたくさん南西諸島に呼んできて交流すればいいのに。一緒に郷土料理をつくって食べて、一緒に遊んで歌って、仲良くなって手を組むほうが、よほど未来に向けて建設的だ。1万人の人件費はまるっと交流する人たちの給与にすればいい。オスプレイ1機分のお金で、いったい何人分の郷土料理がつくれるだろうか。

楽しいな、美味しいな、不思議だな、もっと知りたいな、もっと食べたいな……そういう体験と相互理解を通して外交関係の基礎をつくるほうが、よほど多くの人が幸せになれるだろう。
武器はいらない、戦争はいらない、各国料理が食べたい、文化を知りたい、笑顔を交わしたい!

そんな夢想を広げつつ、まずは西武線沿線のエスニック料理店の開拓を進めようと画策する今日この頃だ。
おすすめのお店がある方、教えてくださいな。