再びフリーランスになるにあたって、近未来を思い描く

仕事について

今年は、札幌でゴールデンウィークを過ごしている。
10連休の前後に2日ずつ休みを追加し、移動日を含めて丸2週間。
年老いた父母のもとで、食事を作ったり一緒に散歩したり、のんびり生活する予定だ。

今年のゴールデンウィークは、私にとって人生の節目の休暇でもある。
4月中旬に、約7年のあいだ運営してきた会社の解散登記手続きを済ませ、個人事業の開業届けも出してきた。
休みつつ、これからの仕事の方向性や可能性をゆるーく考えようと思っている。

今後のことはまだ漠然としているものの、クリアに感じていることはある。
ひとつは、「会社設立以前と同じようなフリーランスのライター・編集者に戻るのではない」ということ。もちろん編集業を主軸にするつもりではあるけれど、久しぶりに自らを自由に解き放ち、まずは自分に枠をはめずにのびのびと活動していきたいと思っている。

会社を立ち上げて7年間、いつの頃からか、常に「ちゃんとしなくちゃ」と変に肩に力を入れるようになってしまっていたようだ。
だから解散を決めて、心がずいぶん楽になった。

会社を解散することを決めた理由はいくつかあるが、大きな理由のひとつは、事業の柱としていた木製品の売上の右肩下がりに歯止めがかけられなかったことだ。
7年間の試みは、事業としては失敗の部類になると思う。
でも、物を売る面白さ、商品を通して人と共感で繋がる喜びを実感できたこと、そして経営のあり方に悩みつづけて学んだことは、今後絶対に生きてくると思う。
やってみなければ分からなかったことが、たくさんあった。

札幌に来て、それを父に話したらこんな言葉が返ってきた。

「その事業では、黒字を出せなかったということだな。
 しかし失敗だったかどうかは、まだ分からんぞ」

長年銀行員だった88歳の父にそう言われると、考える時間の尺度が伸びて、未来をポジティブに展望できるような気がしてきた。
たしかに、この7年間培ってきたことがどんな形でか芽を出し、花を咲かせることだってあるかもしれない。
ことさら「失敗」とレッテルを貼らずに、淡々と次に進んでいけば良いのかもしれない。

私が悩んでいると「楽しいと思う方に行くのがいい」と、いつも父はアドバイスしてくれる。
人生の先輩の貴重な言葉。これからも道標にしていこう。

ゴールデンウィークの札幌は、ほころび始めた桜の薄桃色、エゾヤマザクラの薄紅色、モクレンやコブシの白、レンギョウの黄色、そして清涼感のある緑の葉……そこここが鮮やかに彩られていて、心が清々しくなる。
今年2度目の開花シーズンを味わいながら、春から夏にかけては札幌で仕事をしながら暮らすのも素敵だろうなと思う。

会社の解散・清算に関わる全てが終わるのは、7月に入ってからの予定だ。
今年の夏、私は何をしているだろうか。
わくわくしてきた。